ふとした瞬間に出会ったいい言葉。
今回は、永江朗さんの書評から。
◇写真家、上田義彦の「at Home」。
本作は彼自身の家族を撮った写真集。
最後にはこう記されている。
「一刻、一刻、過去となり、忘れ去られてしまう運命にある
なんでもない日常の中に、二度と見ることの出来ない、
大事な小さなほほ笑みがある。
写真はそれを鮮明に記憶してくれる。」
「小さなほほ笑み」は「幸福」と呼び変えてもいいだろうし、
「人生」と言ってもいい。なざなら、幸福は状態(瞬間)ではなく、
過程(一定の幅を持った時間)のことだから。
(永江評)
—
「小さなほほ笑み」を大事にするっていいですね。
静かで、暗めのトーンの写真。
きっと、そこには鮮やかな色があるに違いありません。
◇保坂和志の「途方に暮れて、人生論」から。
××しなきゃいけない、と考えた瞬間に人は不幸になる。
なぜならそれは現状を否定することだから。
しかし、希望を抱いたり、進歩したりすることが
そんなにエライことなのだろうか。
彼は、「それでじゅうぶんじゃないか」と言う。
それが人生を肯定することだから。
肯定できればいい。
(永江評)
—
現状を肯定しつつ、進歩する。
仮に進めていなかったとしても、「取り組んだ事実」を肯定する。
そうすることが、自然体でいるってことなのかもしれません。
永江さんのように、
短くて、簡潔で、でも的を得た言葉を書くためには、
いい言葉をたくさん読むことが必要なのかもしれません。
そう考えると、ゆっくり、かみ締めながら読書をする時間が必要です。
ここでも大事なのは「読まなきゃ」ではなく、「読める時に読もう」。笑
無理せず、自然に。
でも、過ぎ行く一瞬のほほ笑みは大事に、ね。