12月に入りました。2024年も残り一ヶ月ですね。今年の振り返りは年末に行うとして、最近感じていることを書いてみます。
「古い価値観」「新しい価値観」という言葉を最近よく耳にします。
新しい価値観って一体なんでしょう。それは日頃の生活の中で感じている「大切なこと」や、世の中に対して抱く違和感の中から自然に生まれてくるもので、それが今までの「当たり前」でない場合に「新しい価値観」と呼んで良いのではないでしょうか。日頃感じる違和感を言語化するのは難しいですが、今までのやり方では通用しなくなってきているな〜と思うことや、無理なものは無理と諦めたら良いのに〜と思うことが多々あります。
例えばビジネスの世界では、顧客の要望に答えることが当たり前とされてきましたが、そもそも顧客のレベルが低ければ、その要望にいくら応えようとしても改善は生まれません。このような場合、顧客の要望を否定し、新しいあり方を提案し、啓蒙していくことの方が顧客のためになります。これが比較的新しい価値観かもしれませんし、そういう動きが良く見られるようになりました。
また、業務効率化や生産性向上というキーワードが巷に溢れていますが、これにも違和感を感じる人が増えています。そもそもモノやサービスが飽和した社会において、財をスピード速く大量に生産し、市場に投入することになにか意味があるのか?それで喜ぶのは雇用者報酬を削減し、営業余剰を生み出すことが自分のメリットになる経営者や株主などの資本家だし、生産速度を向上させてもモノが売れないのであれば、過剰在庫が生まれ、供給過多で失業増加につながることが簡単にイメージできます(マクロ経済学の話になってしまいました)。ですから、本当に必要なものを、必要なだけゆっくり作る、値段が高くなっても、それが環境にも人体にも良いのであればそれでいい、これも新しい価値観かもしれません。
僕の場合、こういった考えの原点にあるのは、そのやり方で社会は良くなりましたか?結果、出てます?という問いなんですよね。たとえば、効率性を追求する → 業務効率が2倍良くなれば、同じ労働時間で給料2倍になるはずですが、なってますか?あるいは、週5日働いていたのを、同じ給料をもらいながら2.5日に短縮できるはずですが、なってますか?ということです。
根本的に、今までのやり方を継続しても意味がないことって世の中にはたくさんあります。それは組織開発の分野でも同じで、100点満点の組織開発手法があれば、組織に関わる様々な問題は存在しなくなるだろうということですが、そうはなっていませんよね。また逆に、そういった研修やコンサルを提供している会社の方こそ離職率が高かったり、そもそも儲かっていなかったりすることが多々あります。ITの分野でも、OSやサーバがバージョンアップしてERPなどのシステム更改をして改悪、何百億円損失、個人情報流出、なんてこともザラです。何やってるんだろう?まさにここにビジネスの肝が存在します。答えのない(結果がでない)問題が存在し続けるからこそビジネスが成り立ち、問題がなければ、わざわざ問題を作ってワーワーやることが「古い価値観」のビジネスなんです。
物がない時代は、まず住む家、食べる物、着る物を充足させるために、人々は一生懸命働きました。産業革命から始まる技術革新、重工業の時代、二つの大戦を経て、日本では高度成長期を迎え、オイルショックやインフレなどを経験しながらも、1980頃までは年10%程度の経済成長をしてきました。先人たちのがんばりのおかげで、物質的に豊かになり、物が充足しましたが、今はどうでしょうか。
主要先進国の平均GDP成長率は、1960年代には5.5%でしたが、1980年代には2.96%、2010年代には1.06%になっています。つまり、経済成長は下降トレンドにあるということが誰の目で見ても明らかです。この間に、インターネットの普及やエネルギー革新があったにも関わらずです。(2019年にノーベル経済学賞を受賞したバナジーとデュフロが「インターネットが経済成長をもたらしたということを示すデータは一切存在しない」と言っているとおりです)
この状態で、経済成長が毎年10%にV字回復すると思います?無理でしょう。「古い価値観」では、経済成長を目指すことが当たり前でしたが「新しい価値観」では「脱成長」が既に当たり前になっています。さらに解決すべき問題が少なくなり、仮にあったとしても、解決に必要なコストが大き過ぎてリターンがないためビジネスにならないということも現実になっています。問題がない世の中は経済成長とは無縁です。
僕の見立てでは、向こう10年〜20年は現状維持状態が続くと思います。人々は週5日、朝から夜まで働き、お金を作るために必要ではない仕事をして経済を回すしかないでしょう。しなくてもいいことを一生懸命して、借金を抱えるようなものですが仕方ありません。この10年を新しい社会システムを構築し、GDPではなく幸福度を指標にする移行期間にできれば最高です。
とはいえ、ビジネスの役割は依然として大きいことは事実です。振り返ってみると、我々の生活が豊かになったのは、そこに製品・サービスを提供する企業があったからですよね。これからも、市場にないものを創出することで「新しい価値観」をビジネスを通して広げていくことができるのです。で、やっぱりそこで注目すべきは、人が人として生きるために根本的に必要なもの、食や農業、環境、哲学、文化芸術の分野でしょう。
今までの成功モデルは通用しないし、一本に引かれたレールがないこれからの世界で、「自分としてどう考えて、どう動くか」が重要です。違和感を大切にし、何が大切かを見極める。一つの選択肢や場所にこだわらず、複数の選択肢を持ち、同質の人間同士ではなく多様な種類の人と関わりを持ち、一人ひとりが「自分の軸(芯)」しっかり持って生きくための変容が求められているということです。
個人的には、めちゃくちゃ生き易い世界になってきていることを実感しているし、未来に対してワクワクしかありません。これからの時代が本当に楽しみです。
「仕事」カテゴリーアーカイブ
旅雑誌や機内誌のコラムを地で行くような楽しみ方
夏ってイベントが多い季節ですよね。
毎週のように暑気払いや会合など、仲間たちと集まる機会が多く楽しく過ごしています。
飛脚まらそん大会運営チームの決起集会、社団法人主催のシニアコミュニティの会合、ランニングコミュニティの10周年、所属ゴルフクラブの有志飲み会、三重県ゴルフ合宿・・・毎日のように行事ごとがあり、色んな意味でアツい。皆さん元気で何よりです。
先日のブログで、コミュニティは空気のようなもの、と書きました。
(「新しい文化を作る」2024年7月26日)
様々なコミュニティに属していると感じるのですが、誰もが「ここが心地良い」と思って集っている人の集団なので、やはり根底に、価値観や文化の共通の土台のようなものが横たわっています。先日、そんなコミュニティのある人と、関西エルマガジン社が発行するMeets Regionalの話題で盛り上がりました。
僕はMeetsを20年前くらいに熟読していて、江編集長や内田樹先生、中場利一さん、バッキーイノウエさん、ひさうちみちおさんなど、ちょっと斜めな人たちが書くコラムが大好きでした。街場の◯◯考として、下町や地域に根ざす店などを一風変わった角度で考察したり、時事ネタを面白く扱ったり、とにかく毎号楽しく読んでいたのです。街を知り尽くした賢くカッコいい大人たちに憧れたものです。少しアカデミックな視点が入っているところもあり、読むと賢くなれたような気もしました。
久しぶりに、当時のMeetsがどれだけ面白かったか(もちろん、今でも面白いと思いますが)を共通言語で語れる人がいたのが嬉しかった!そんな話で盛り上がりながら、僕はその頃から地域の小さな経済圏や、文化や、郷土史が好きだったんだな、と再確認できたのも収穫でした。
今、各地の神社仏閣めぐりをしながら、その土地の歴史や文化を学び、地域の産物に舌鼓をうち、道の駅で買い物をして帰るような旅を趣味のようにしていますが、そのルーツは、Meetsにあったのかもしれません。紙媒体や活字が好きなのも昔から。こんなことを書いていたら、図書館に行きたくなってきました。
旅先での街歩き、小料理屋での店主や女将さん、地域の常連さんとの会話。
惹かれるままに、思いのままに。旅行雑誌や機内誌のコラムを地で行くような楽しみを、これからも続けて行きたいと思います。
さて、告知です。
お手伝いしている「服部足祭り」ですが、この度、7月28日(なにわの日)に開催された「第24回 なにわ大賞」の「大賞」を受賞しました!「なにわのいちびりさん」に与えられる歴史ある栄誉ある賞をいただけたこと、関係企業、運営スタッフ、ボランティアの皆さんと一緒に喜びを分かち合えたことが本当に嬉しいです。
そして、8名の審査員の方々が、カッコいい大人の方々なのでした。
服部足祭り、今年は10月5日、6日に開催されます。
ぜひ、遊びにきてくださいね。
近況報告〜肩の力を抜きつつ11期目がスタート
7月に入りましたね。毎日暑い日々が続いていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。こちらは色んなことが重なり、非常にバタバタしていました。
近況としては、まず、自社の10期目の決算を6月に迎えました。
今期(いや、7月に入ったから前期ですね)は、おかげさまで過去最高益、前年比300%以上増で着地。顧客、取引先には大変お世話になりました。2022年3月に独立してから、ようやくあるべき形やペースが見えてきたこと、良い評判をいただいて色んなルートから仕事を紹介いただけることになったこと、領域がコンサル、マーケ、採用、事業開発以外にも拡大し、ご支援させていただける企業や団体が増えてきたことで、このような結果になったのだと思います。
ペースという意味では、今でも平日休日関係なしの生活をしています。平日でもゴルフや神社めぐりをしているし、予定のない週末は大好きな図書館やカフェで仕事をしています。会いたい人には会いに行き、行きたいところがあれば行く。時間や場所に拘束されないライフスタイルというのが、僕自身の理想であり、そのために一人でフットワーク良く動けるように環境づくりをしています。
弊社は7月から11期目に入りました(実は独立前の役員時代から二足のわらじを履いています)。ありがたいことに今期も既にたくさんのご相談をいただいています。どんなご相談でも恩返し、恩送りと思ってお受けさせていただいていますのでお気軽にお声がけください。
そして、もう一つ。
6月末に、96歳の祖母が亡くなり、通夜葬儀の喪主として見送りました。
昭和3年生まれ、終戦後に若くして嫁ぎ、数え切れないほどの苦労があったことは容易に想像ができるし、夫(祖父)を22年前に、長女(母)を3年前に亡くして寂しかっただろうけど、認知症もなく、家族親族を大切にし、義理人情に厚く、記憶力抜群の聡明な女性でした。おばあちゃんは僕自身の良い理解者で、いつも僕がすることを心配しつつも応援してくれていました。
親戚やご近所の方が弔問に訪れてくれた際、松田さんは本当に賢い人だった、という言葉を何度も聞きました。「賢い」とはどういう意味なのかを考えていたのですが、恐らく、記憶力が良いこと、勘が良くどんなことでも器用にこなすこと、常に周りの人間のことを考えて一歩二歩先の手を打っておくこと、そんな感じなのかなと思います。
おおよそ100年、ひとつの世紀を生きたわけですから、大往生といわずしてなんというのか。我が家としては一つの時代が終わったな、という感じです。戦前、戦中、戦後を強く逞しく生き抜いた昭和の女性の強さはマネできるとは思っていませんが、僕は僕なりに、受け継いだものを守り、祖母を安心させてあげれたら、と思っています。
今週は東京出張からスタートです。
一週間がんばりましょう。
持てる武器を増やす
先日、仲間内で話していた話題について、やっぱり良く考えてみるとこれって結構大事なことなんじゃないかなと思ったのでブログにまとめてみます。
題して、
「コピペ社会をどう生きるか」
今の世の中って、コピペ(コピー&ペースト)社会だなと思うことがあります。ネット上に情報が溢れているので、簡単に情報を手に入れて「知った気」になることができるし、それらの情報を簡単にシェアできちゃいます。コピペされた情報が真贋問わずに量産され、それらがSNSやYoutubeを通して無限に広がります。
同じようなノウハウが溢れていると思いませんか?
誰の言うことを信じたら良いのでしょうか。
簡単に言うと、実践経験があり、実績を出している人の言葉のみが信用できるのです。
モテたことがない人がモテ方を教えることができる訳がないし、お金を稼いでない人が稼ぎ方を教えることはできません。会社経営をしたことがない人が経営論を語ることもできないし、組織で出世した経験のない人が組織論を語ることはできません。もし語っている人がいたら、それはウソやと思っています。薄っぺらな情報はすぐ分かりますよね。
でも、このコピペ社会では、モテない人がモテ方を教えてたりするでしょう?
恋愛経験のない人が恋愛相談に乗っていたりするじゃないですか。
そのような、なんちゃって◯◯みたいな人が山のようにいるのが事実です。「なんとなく、できそうに見える」人。やってる感を出している人と、実績が伴っている人は別です。いやいや、実績とか経験とか関係なく、理論に基づくアドバイスもありますよ、という意見もあるかもしれません。確かにそう。でもね、大抵仕事になっていません。なぜなら教える側、サービスを提供する側に結果が伴っていないからです。
ビジネス = 事業をつくること = 売上・利益をあげること は簡単ではない。
特に若い人に、『「ビジネスごっこ」に巻き込まれないように注意して』と言っている理由はそこです。収益が上がっていない会社や事業は、いくらやってる感を出していたとしても「ごっこ遊び」の域を出ません。生成AIの方がはるかに良いパフォーマスを出します。下手したらそこで飼い殺しにされる可能性もあります。誰もが簡単に起業できたり、資金を調達できたり、会社を作れたりしますが、ほぼ失敗していますから。
では、どうすればよいか。
カッコ悪く生きることが大切なのではないでしょうか。
とにかく自分が働ける場所、雇ってもらえる場所で必死に働く。好き嫌いではなく、そこで経験を積み、実績を出し、昇進、出世する。社内外で多くの人と知り合い、ギブファーストで動き、人を助け、助けられたら恩を返し、この人に任せたら安心、と、誰からも信頼される人になること。時間が掛かかりますが、時間が掛かることは当たり前です。最短距離を走れる人なんてほとんどいないのですから。
こうすることで、持てる武器が増えていくと思います。
実践経験を積み、武器を増やそう。そうすれば、ちゃんと相手にしてもらえるし、お客様に価値提供ができるし、稼げる。
なんちゃってごっこ遊びは時間の浪費です。
コピペ社会から脱出しましょう。
上記の文脈とは少し毛色の違う話になりますが、こんなことやり取りを想像してみました。
「あなたのやっていることで世の中を変えることができたか?」
「いや、そんなこと考えたこともありません、私は飯を食うためにやっているのです。」
こういう方がよほど潔いし、僕は好きです。
自分も至らない点ばかりなので、自戒を込めて書いてみました。
数百年後の歴史家は、20〜21世紀を何時代と名付けるのだろう
関東から雨の神戸へ帰ってきました。
行きも帰りも、新幹線は外国人でいっぱい。グリーンなんて6割〜7割が外国人(白人多め)で、空席も少なめ。みんな大きなキャリケースを引っ張って移動しています。僕のようなビジネス客なんて少ないんじゃないかな。あえて混み合う朝夜は避けて、真っ昼間に乗っている、というのもあるのでしょうけど。
月に一、二度は関東出張に行っていますが、ここまで外国人が多いのも珍しい。なんでだろうと考えてたのですが、答えが分かりました。桜ですね。
ちょうど3月の終わりから4月にかけて、日本全国桜の花が咲き誇ります。日本特有のシンボリックな風景というのはいくつかあると思いますが、やはり満開の桜が一番「日本らしい」のかもしれません。桜を見ていて思うのですが、地域によっても開花度合いに差があるし、木そのものにも個体差がある。宿泊していた神奈川のホテル近くの桜はほぼ満開でしたが、打ち合わせに帰ってきた新神戸駅の桜はまだ2,3分咲きという感じでした。
さて、この時期はどこに行ってもフレッシュなスーツに身を包んだ新入社員を見かけます。
よく昭和世代、バブル世代、不景気世代、ゆとり世代、最近ではZ世代など、◯◯世代という分け方をされますが、たかだか数十年の時間軸で世代分けされていたら、日本史の年表は線だらけになるでしょう。たまに考えるのですが、数百年後から振り返った20世紀や21世紀は歴史家にとって、どんな分類をされるのでしょうかね。何時代と言われるのでしょうか。工業化時代、世界戦争時代、人口爆発時代、環境汚染時代、温暖化時代、AI時代・・・色々考えると面白いですね。
話は元に戻りますが、長い時間軸からみた今この瞬間は、老いも若きもなく、皆おなじ世代の人間です。たしかに文化風習、言葉、流行などに違いはあれど、大して変わりません。◯◯ガチャという言葉もありますが、今も昔も同じだろうと思うのです。戦争を経験している親戚のおじいさんから、「軍隊はなあ、運(うん)隊と呼ばれてたんやで。配属される部隊によっては天国か地獄。まさに運任せや」と、子供の頃に聞いたことがあります。今でいう配属ガチャですよね。
なんの因果かその時代に生まれ、同じ世代の人間と一緒に育っていく。世代間ギャップなんてあってないようなもの。いつの時代も学ぶこと、努力することは必要だし、昨日よりも今日、今日よりも明日を少しでも良くすべく、今できることをがんばって精一杯生きることだけです。こうやればうまくいくという答えもないので、自分で色々と模索しながら探して行きましょう。
4月に入りました。
これからますます良い季節になりますね。今週末が桜の見頃でしょうか。楽しみです。
自分で決めてやるしかない時代
3月も終わりが近づいてきました。
卒業式シーズンも一段落、これからは入社式、入学式、始業式と、新たな門出に胸踊る季節です。自分も独立するまでは4月1日といえば入社式でした。入社式の後は新入社員研修が続き、4月は研修シーズンでGW前にようやく落ち着くという生活でしたが、今は自分ひとりで仕事をしているので、せいぜい、支援先企業のお手伝いくらいになりました。
なんとなく、あの入社式の独特の雰囲気が今となっては懐かしく感じます。
新卒一括採用の良いところは、これといった特別なスキルや専門性がなくても、それなりに研修や教育で仕事のノウハウを教えてもらい、現場でビジネススキルを身に着け、ジョブローテで様々な職務を経験しながら一通りの仕事ができるようになることでしょう。時として、先輩や上司からの無茶振りや理不尽も経験しつつ、これらを燃料にして成長できる(させてもらえる)のです。
ここ数年、生成AIの台頭により、プロンプトを使いこなすことで仕事の生産性を上げる(CaDE-aiにリンク) ことができるようになってきましたが、新入社員にとってやはり基礎は大切。その基礎をどのように身につけることができるかというと、「学びと実践」以外にありません。
よく20代の人から「早く成長したい」「早く稼げるようになりたい」という相談を受けるのですが、そういう気持ちがある人には「一番の近道は短期集中ですよ」と伝えています。
どうせやるなら短期間に凝縮させる
例えば、新卒未経験で入った会社で3年間、慣れない仕事を覚えるために死にものぐるいで勉強し、土日も本を読み、仕事を優先した3年間と、仕事はそこそこにアフター5や週末は趣味や友達との時間に費やす3年間とでは、どちらがスキルアップのスピードが速いでしょうか。
答えは明白ですよね。前者です。
これは、どっちが良い生き方かという議論ではなくて、成長しようと思うと努力は避けて通れないということです。それゆえ「早く成長したい」と思うのであれば、短期間にその努力を集中させることが一番の近道なんです。これね、やっとくと後が楽なんですわ。将来、独立したい、リッチになりたい、多くの人の役に立ちたいと思う人は、(一部の天才は除き)できるだけ若いうちに修行だと思って努力と苦労を買ってでもやるようにしましょう。
特に最近は会社が無茶をさせてくれないので、「成長してやる!」との決意に自分でコミットしてがんばるしかありません。昔はピンからキリまで、イヤイヤでも無茶させられたので、気づくとある程度成長できていたのですが、今はやる人とやらない人で強烈な差が付いてしまいますので、大変ですよね。一応「そうじゃない生き方もある」ということは付け加えておきます。
知り合いがいない場所に積極的に出かけよう
人にとって居心地の良い環境というのは、地元の友達や学校の同級生と一緒に遊んだり、会社の同僚と飲みに行ったりすることだと思います。知った仲ですから、とても楽です。
でも成長しようと思うと、楽なメンバーとばかり一緒にいては何も得ることはできません。出来るだけ、知り合いがいない場所に出かけて色んな人から刺激や学びを得ることが大切です。これは、驚くほど成長に繋がります。
まず、知り合いがいない場所に行くと、誰も自分のことを紹介してくれません。自分から人に声を掛けなければ何も始まりませんよね。以下に場面を想定してみます。【】内はその場面で必要なスキルです。
1,初対面の人に声を掛ける【勇気、積極性】
2,その人と会話を続ける【話題の豊富さ、コミュニケーション能力】
3,その人に気に入ってもらう【思いやり、謙虚さ、気づかい】
4,その人の知り合いに紹介してもらう【好感度、さわやかさ】
【】内を見るだけでも、どれだけのスキルが必要か。4については相手が判断するものなので少し違うかもしれませんが、でも一度これらのスキルを身につけると、どこに行っても、どんな場所でも、誰とでも仲良くなることができます。もちろん、これは先天的なものではなく、やはり努力と惜しみないインプットによって獲得するものです。
その結果、居心地の良い閉じた小さな世界では出会えない属性の人々から学びや気づきを得たり、思わぬ人と繋がったり、人脈が広がって趣味や遊びや仕事の幅が広がったりするのです。ちなみに、人脈は、広げようと思って追っかけるものではなく、富や立場と同じで「結果として」ついてくるものだと思います。
4月が近づいてきたので、新入社員の方に向けて少しでもヒントになるようなことを書いてみました。昔と今は時代が違うとよく言われますが、最近のスポーツ選手の活躍やインタビューを見ていても、成功者はものすごい努力を積み重ねていますよね。見えないところでどれだけコツコツやれるかが大切なのだと思います。
自由だけど不自由、自己責任とは聞こえはいいが、事実、切り捨ての時代をどう生き延びるか、ですね。
選択する力
3月に入り、寒暖の差が激しいことに加え、毎年3月からGWにかけては体調を大きく崩す時期ということもあり、いよいよ今年も本格的にやばい季節がスタートしたという感じです。
東西を仕事で行き来しながら、その合間に神社めぐりやゴルフ、ランチめぐりなどをしているのですが、体調がいつどうなるか分からず、なかなか先の予定も立てにくいところに身内の入院なども重なり、スケジュールをかなり調整させていただくことになりました。各方面、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
さて、いよいよ世の中も混沌としてきた感がありますが、経済面では株価が40,000円を突破して過去最高を更新した瞬間、また38,000円台に戻るという面白いことになっています。さらにここへ来て、時期尚早ともいえるマイナス金利政策解除のニュースもあり、今後株価は更に調整局面を迎えるでしょう。米国株も一旦頭打ち、新興国のドル離れもあり、上昇機運に乗っかってジャンピングキャッチしてしまった方、新NISAをスタートした方は、少ししんどい一年になるかもしれません。
いつも思うのですが、「こうすれば大丈夫」というテンプレートが何もない世の中において、マスコミや有識者、人の言うことはあてにできず、自分の身は自分で守るということがより求められています。攻略難度が年々高くなっているRPGの主人公のように、自分の選択を自分で信じるしかない。そのために「選択する力」をどう養うか。これに尽きるわけです。
マズローは、選択には、成長の選択と、退行の選択の二種類があると説いています。
成長の選択 = 自己実現に近づくけれども、当面、苦労する選択肢
退行の選択 = 自己実現からは遠ざかるけれども、当面、楽な選択肢
退行の選択は、安全や依存と結び付けられることもあります。セーフティゾーンから出たくないというのは、安全への欲求の裏返しだし、当面楽な選択ですが、それは自己実現から遠のいていくことになるかもしれません。人間として生きている以上、将来後悔しないために、一歩踏み出す勇気が求められるということです。
また、その選択をするためには、やはり物事の本質を見る力と抽象化能力が求められると思っています。抽象化能力って、意外と歴史を学ぶことで培われるものだと思っているのですが、それは、歴史を学べば、人間は同じことを繰り返しているだけだということが分かるからなんですね。
貧しい時代は子がたくさん生まれ(その代わり平均寿命も短い)きれいなピラミッド型の人口構成図になります。産めや増やせやで、経済が発展します。そしてある程度豊かになると出生率は低下して、高齢化が進み、人口は減少します。どんな王朝も政治形態も、成長期、安定期、衰退期を繰り返してきました。
人間が人間である以上、これが正解というのはない。そもそも、自然災害や戦争や食糧危機のリスクも含めて、いつどうなるか分からない時代にセーフティーゾーンはどこにも存在しないので、結局は「成長の選択」をしなければならないことになるんですよね。
どうせやるなら、思い切って。
選択する力、自分で自問自答する毎日です。
ビジネスの順調さとは裏腹に、いかんせん身体が思うように言うことを聞いてくれないこともあり、日々もどかしい思いをしている中で、選択する力について考えながら、自らを奮い立たせている今日この頃です。
調査結果:70歳以降働く人、最多の39%を受けて
2月中旬の日経新聞のトップに「70歳以降働く 最多39%」という記事が出ました。
将来に対する不安については「生活資金など経済面」が7割で、健康面の不安を上回ったということです。高齢になっても働く意思を持つということは素晴らしいですが、その理由が「経済的な問題」というのも、いかにも日本の状況を表しているといえます。
もっとも、自分の周りには気持ちも若く、経済的な事情というよりは、社会に貢献したい!という気持ちで定年を超えてもいきいきと働いている方もたくさん知っています。
人生100年時代。寿命が伸びたは良いが、普通にサラリーマンをしていると55歳をピークに給料は下がり、60歳で定年を迎え、雇用延長して働けたとしても65歳まで。定年引き上げで70歳まで働けたとしても、そこから15年、20年をどうしていくか。子供がいてもいなくても、自分の生活は自分でなんとかしていかなくてはならない。年金だけでは足りないし、いつまで貰えるかどうかも分からない。日本社会はシュリンクするのが見えているので、これから先が不安・・・というのが数字に出ているのでしょう。
仕事につけるかつけないかは、需要と供給に依存しますが、シニアになると転職や再就職がしにくいのも現実です。最近はリスキル、リカレント教育など、学び直しがフォーカスされることも多いですが、何を学べば良いのかと相談を受けることがあります。
新卒で入社した企業でずっと生きてきて、50を過ぎて何か新しいことを初めようとすることには高いハードルがありますし、プログラミングやコーディングの勉強を今からやるには遅すぎる。独立起業を考えても、人を雇うお金もない、サービスを開発したいけど元手がない、というのもよく聞きます。
生成AIが一般の人にも広く知られるようになってきました。
今では、普通に使いこなしている人も多くいます。実際、僕自身も議事録や提案書の草案はGPTにしてもらって、内容を確認してちょこちょこと手入れをしたり、データを放り込んで分析してもらったり、色々と活用しています。仕事の相談相手にもなってくれますしね。
このようなライトな使い方だけでなく、自分のスタッフのように使いこなすことができるのがAI時代なんですよね。なので、今後は転職や起業に、生成AIを使いこなすことが必須になると思います。変に興味が持てない、興味が沸かないことをやるより、生成AIのプロンプトを学んだほうがいいと個人的に思っています。ほんと、何でもできます。
でも、実際、何から着手して良いか分かりませんよね。自分が少しお手伝いさせてもらっている自然言語解析ベンチャーの新サービスをご紹介します。初心者でもChatGPTを使いこなせるようになる、実践型のeラーニング教材です。もし興味がある方はぜひご覧ください。
「習うより慣れよ ChatGPT初級実践講座」
https://www.cade-ai.com/onlinelesson
【活用例】
企業の社員研修
ミドル・シニア向けの研修プログラム
現場で生成AIを使用して業務効率を向上したい個人の方
セカンドキャリアを見据え、今から生成AIを使いこなして起業や転職に活かしたい方
これからの仕事は、ポータブルスキルに加えて、生成AIと友達になること、この2つがキーワードですね。
それにしても、予測しにくい世の中になってきました。もうほんと難しい。
でも、明るい未来が来るのを待つのではなく、自分たちで作っていかなければならない。前向きに、考えていきたいものです。
日の出に感謝
典型的な朝型人間なので、毎朝5時台には目が覚めます。
先週は天気が悪い日が多かったのですが、雨が降る前の朝焼けってすごくきれいなんですよね。まるで夕日のような、燃えるような色をしているのです。
我が家のリビングは東向きなので、はるか遠く大阪平野の東端にある生駒山から昇る朝日を見ることができますが、その色の美しさったら!朝焼けがきれいに見えると天気が崩れるといいますが、まさにそのとおりの先週でした。
前回のブログで「何をモチベーションにするか」ということを書きました。
空腹の生き物と、満腹の生き物ではどちらが強いか(2024年2月17日)
あれから色々と考えていたのですが、自分の場合はただ単純に、毎日生かされていることに対する感謝の気持ちがモチベーションになっていることを再認識しました。せっかく生かされているのだから、誰かの何かのお役に立ちたい。願わくば、周りにいるひとたちを少しでも幸せにできればいい。
毎朝、太陽が昇ることに感謝
水や空気があることに感謝
その日、元気に生きていることに感謝
感謝すべきことを数えあげればきりがありません。
それは自然に対してだけでなく、人や社会に対しても同じ。社会的な生きものである人間にとって、一人で生きていくことは難しい。仕事をさせてもらえていることも、美味しい食べ物をいただいていることも当たり前ではないし、自分の力で出来てることって何もないよな。自分のためにはがんばる気持ちは沸かないけれど、人のためにはやる気が出るな。不思議ですよね。
さて、あっという間に2月も終わりです。
確定申告も早々に終わらせましたので、スッキリした気持ちで3月を迎えることができそうです。年度末という区切り、4月からの新たなスタート。春から夏の予定もたくさん入ってきて、今からワクワクしています。
昨春は体調を大きく崩し、通院、入院、検査続きの春でした。
この経験のおかげで人生と向き合い、色んなことを学ぶことができた一方、先々の予定を入れることの難しさも実感しました。今年は上手に乗り越えれるでしょうか。まあ、先のことは分からないので、その時々の判断ですね。
とりあえず、今のところは元気です。
起業はプロボノの延長線にあった方が良い理由
新年明けましておめでとうございます。
今年は辰年(龍年)ですね。辰年早生まれの僕は今年は年男。干支が4周します。昇竜のごとく勢いをつけていきたいところですが・・・コツコツと目先の仕事に全力投球していきたいと思います。
さて、新年ということもあり、決意を新たにしている方も多いのではないでしょうか。やはり気になるのは自分自身のキャリアについて。僕自身が早々に会社勤めを辞めて一人会社を経営しているということもあり、起業(フリーランスを含む)を志す方から相談を受けることが多くあります。
起業というのは、確かに魅力的な選択肢です。人生100年時代、寿命が延びた分、働く期間もそれだけ長くなるわけですよね。平均寿命が70歳の時代は定年60歳で良かったのですが、平均寿命が90歳になると、これからは80歳までは普通に働かなければならなくなります。そういうことを考えると、一つの会社に依存するのではなく、自分でなにかしら飯の種を持っておいたほうが良い。
しかし難しいのは、起業したはいいが稼げるの?ということなんですね。
個人的な考えですが、起業には向き不向きがあると思っています。
どうも世の中的に、テクニック先行の起業支援みたいなものが多くありますが、どうなんでしょうね。テクニックで稼げている人、僕はほとんど見たことがありません。
一例として、僕が知っている起業家は、学部生の頃になんとなく起業したいという思いから、仕事もなく、ビジネスのコアも定まっていないのに、とりあえず株式会社を登記し、そこから自分たちが得意だった動画制作を軸に、広告マネジメントに事業を拡大させ、都内の一等地にオフィスを構え、社員も増やして会社を成長させています。
理念やパーパスは後付け、SNSでの発信もなし。
最初に仕事をくれたクライアントを大切にし、少しづつ仕事を増やし、経験したことがないことは学び、結果を出し、良い評価を得て、満足したクライアントがまた別のクライアントを口コミで紹介して仕事を増やし・・・という基本的なプロセスを充実に回しているだけです。阪神タイガースの岡田監督が「当たり前のことをやれば勝てる」と言っているのと同じなんですよね。稼げている会社の創業者って、こういうパターンが圧倒的に多いです。ピッチなんて、したことないんじゃないかな。
僕は個人投資もしているので、比較的スタートアップスを色々と見ている方だとは思いますが、その基本がないのに「自分がこうしたい」という思いや理想だけが先行して、ビジネスにならない人を山ほど見てきました。そういう人に限ってSNSでの情報発信は立派なのですが、中身がない。他にも、稼ぎたい!という思いでブルーオーシャンに飛びこんだは良いが、マーケットニーズがなくて売上が上がらず、出資先へのリターンも出せずに頓挫したケースも枚挙に暇がありません。
これに関しては過去記事をご覧ください。
思いはあっても仕事はないという現実にどう対処するか(2023年8月11日)
個人的な意見ですが、起業はセンスが9割だと思っていて、自治体やVCなどによるベンチャー支援やスタートアップス投資などのプログラムには非常に懐疑的な部分もあります。誰でも起業とは聞こえは良いが、無理ですって。(いろんな人を敵に回しそう・・苦笑)
結局、補助金や出資金頼みで実利も上がらずにシャブ漬け状態になり、撤退、廃業というケースが多すぎる。そもそもセンスがないんだと思うし、ピッチのテクニックだけが向上し、先に書いた「ビジネスの基本」が出来ていないケースが多いのではないでしょうか。
では、どうするか。
まずは会社員として会社勤めをしながら、社外での越境プロボノ活動やボランティア活動を積極的にすることで人脈を広げ、経験を磨くことをおすすめしています。会社経営で必要なのは、様々な財布(稼ぎのチャンネル)をたくさん持っておくこと。起業しても、クライアント一社からの受託業務をメインに仕事している方も多いですが、それでは契約社員と変わらないし、なにかあったらすぐに切られてしまうということで非常にリスキーです。
いずれにしても会社員をしながら、新しいことにチャレンジし、お小遣い稼ぎレベルでも良いから、本業以外で稼ぐことをやってみる。その積み重ねの先に起業があるのではないでしょうかね。
とにかく、今年は円高基調が予想されるとはいえ、ビジネス環境が厳しいのに代わりはありません。今年も様々な業界で淘汰が進むでしょう。今一度気を引き締めて、がんばってまいりましょう!すべての人にとって今年一年が素晴らしい年になりますように。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。