アイデアやクリエイティビティはどこから生まれるか


某メーカーの開発担当者とMTGをしている中で、面白い話を聞きました。日本のものづくりやITサービスが海外勢に押されてプレゼンスを低下させている原因として、長引く不況が影響しているのではないか、と。

不況時には、会社はコストカットと経営資源の効率化、利益最大化を目指します。人員を削減して必要なリソースだけを残し生産性を最大化させる。省資源で利益の最大化。一見、これらの施策はスマートで効果を生むと考えられがちですが、実はその逆である、と。ものづくりにしてもサービスにしても、アイデアは全てのプロダクトの出発点であり、クリエイティビティはそのアイデアを最高に魅力的なものにしていく。では、そのアイデアやクリエイティビティは、どこから生まれるのか、ということです。

省資源化により、仕事を詰め込まれ、夜遅くまで仕事をし、生産性ばかりを追い求められて目先の仕事をこなすことばかりに時間と体力を奪われてしまうと、新しい発想や柔軟な思考が生まれる余地がなくなってしまう。人は「生き物」ですから、体力や気力に限界があります。日々多忙を繰り返すと、思いを巡らす余地もなければ、帰宅と同時にバタンと寝て、朝を迎える。このような日々の繰り返しでは、アイデアもクリエイティビティもあったものではない、「革新的な新製品を開発しなさい」と言われても無理だ、という訳です。

Googleでは「20%ルール」というものが存在します。ただでさえ趣向を凝らした創意工夫溢れる職場環境で、ジムや社食もフリーで使い放題であるにも関わらず(最高の環境だ!)、その上、業務時間内の20%は業務以外のことに使って新しい価値を生みなさいという制度。Googleはテクノロジーオリエンテッドな会社であるからこそ、エンジニアはルーチンではなく、新技術を実験的に試したり自由にプロトタイプを作ったりすることによってコアプロダクトをベースにした新しいサービスを生むヒントを得ることができるのです。なかなか普通の会社では出来ないよね、と思うかもしれないが、その発想こそが「普通の会社」である所以である、と。そのような話をいつもの整備された会議室ではなく、スターバックスでコーヒーを飲みながらしていました。彼は最近、打ち合わせを極力、カフェや社外で行うようにしているそうです。環境を変える方が色んな話をすることが出来る、という効果を実感しているそう。また、会社としての取り組みとして、社員一人ひとりに予算を与え、好きなことをさせることによるマネジメント力の強化プログラムを考えているようです。詳しくは書けませんが、非常に面白い試みだと思っています。


大きな組織の中にいて環境を変えることは難しくても、個人レベルで取り組めること、ちょっとした発想の転換で普段と違った光景を見ることは可能です。僕もその点は日々意識していて、例えば、ジョギングをしたり、読書の時間、勉強の時間を持つこと、そしてその時間は出来るだけ実務的なものから離れたものに触れるようにしています(この件については「週末リベラル・アーツ」という記事でも簡単に書きました)。

子供たちが夏休みに入ったこともあり、毎朝6時半から近くの公園にラジオ体操をしに行くのですが、今朝、僕もジョギング前にラジオ体操に付き合うことにしました。高齢者を中心に意外な程たくさんの方が参加しておられ、僕も十数年ぶりのラジオ体操を行いました。あの音楽が流れだすと自然に身体が動く。染み付いているんですね、ラジオ体操。日本人であることを実感しました。

業界関係なく、一日のほとんどをPCの前で過ごす人、ラジオ体操良いですよ!あの運動は肩こりに効きますわ。今一度、見直されても良さそうな体操ですね、きっと良く考えられているのでしょうね。

さて、話が逸れましたが、環境を変えてみる、仕事以外のことに意識的に打ち込んでみる、というのは脳を柔軟にするのに役立ちそうです。何をしようかと考えるだけでワクワクする。そしてそのことを仕事に還元する。良い循環を生むことができる方法を色々と模索したいと思います。