無数の本の前を、百科事典が歩き回っているような光景


図書館に来るといつも思うこと。

びっしりと本が並んだ書棚の前を人が歩いている。

本とは、文字による情報が印刷されて製本された物だけど、それを手に取って読む人間も、実は情報の固まりだったりするんですね。人の体を形作っているのはDNAで、遺伝子には10万種類、60億文字の「人体の設計図」が刻まれています(出典:NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体 3 遺伝子・DNA)。

その遺伝子情報を本にすると百科事典で数百冊分とか。書棚の前を人が歩いている光景は、あたかも本の前を数百冊の百科事典がのそのそと歩いているようなもので面白いですね。今、隣に座っている子供達も、細胞の中では唯一無二のDNAがせっせせっせとタンパク質を作って成長を続けている。もちろん、遺伝子情報は文字でも何でもなく、4種類のアミノ酸に、A、T、C、G と記号を振っただけのものを「情報」と呼んでいるだけなのですが、この情報という定義を考えてみても面白いと思います。


メモリを増設するかのように、脳も拡張できれば良いのに。

一昔前は人間は脳の数パーセントしか使っていないから可能性は無限大って、自己啓発界隈で安っぽく使われていたけれど、今の研究によると、人は日常生活においても脳の大部分を使いながら生活しているらしいです(定義の仕方にもよるが)。でも、もし記憶力に限界がないのだとしたら、この書棚にある書籍を片っ端からストレージできるくらいのポテンシャルは余裕であるに違いないし、実際にあるのでしょう。

結局、筋肉と同様に刺激を与え続けることが必要なのであって、何も考えずに過ごすか、紙とインクと文字の世界にダイブして委ねてみるか、ということなのだろうと思います。


「Questo mondo immenso」というイタリア語は、「この大きくて素晴らしい世界」と訳せるのだと思いますが、図書館もある意味では世界。そして、その一冊一冊を開くと、また新たな世界が広がっている。まさに、Questo mondo immenso です。

Questo mondo immenso – STUDIO APARTMENT