3Dプリント技術のポテンシャルから見える未来のプロダクト


3Dプリンターのポテンシャルについては数年前から幾多のニュースが飛び交っていますが、これはすごい。シェアされていた記事から。

どんな立体物にも直接電子回路をプリントできる3DプリンターLBS 45XE (i-maker.news)

(画像引用:i-maker.news)

観点は二つあって、一つは回路図をDLするだけで電気製品が簡単に作れちゃうということ、そしてもう一つは既存製品への応用です。

筐体そのものに電子回路をプリント出来るということは、プリント基板が必要なくなるので、更なるプロダクトの小型化、軽量化、超薄化を実現することができる。加えて、筐体の形状を全く気にしなくて済むようになりますから、どんな形のものでも作ることができますね。

今でも、フレキシブル基板や透明基板などは存在していますし、折り畳み式デバイスや装飾用基板に使用されていますが、どんな形状のものにもプリント出来る技術はもっと応用が効きます。例えば、チェーンネックレスのような携帯電話や、厚さ3mmくらいのノートPCだって出来ちゃうかもしれない。筐体と基板の干渉チェックとか必要ありません。

もちろん、高多層な基板が必要とされるような製品(スマフォやPC、その他高機能製品など)や車載や航空宇宙、医療系など、高機能かつ悪環境、熱、湿度、インピーダンスを考慮しなければならない基板の代わりになる日は、ずっと将来のことでしょうけれど、LEDが光るような簡単な製品には応用可能でしょうねえ。まあ、基板の性能にもよりますから、この記事にあるように、車載や携帯のアンテナなどの量産に導入予定というのも頷けます。形状にもよるのでしょうけれど、小型の電子部品なら実装も問題なさそう。すごいなあ。


実は今日、お仕事で大阪を訪れていた、シリコンバレーで25年以上も製造業に携わっている遠藤吉紀さんとランチミーティングをさせていただいたのだけれど(来週、サンノゼでお世話になります)、その会話の中でも、「テスラモーター、Uber、Squareなど、イノベーティブな企業って、実は既存のモノやサービスの土台の上に成り立っているんだよね」という話が出ました。Innovationというと、何かトンデモないものを発明したり、あり得ないと思うようなことを実現しちゃう天才的な閃きから来るイメージがあるけれど(まあ、実際そんな技術もありますが)、実は、既存技術の応用でなんとかなるものが多いのです。

これは絶対に変えれないよね、この業界はこうだよね、さすがにこれは無理かな、と思った時点で思考が停止してしまう。

なんとかなるんじゃない?
いやいや、全然革新の余地はあるよね。
当たり前と思っていることって実はおかしいよね。

このような柔軟な思考と飽くなき探究心、そして未来志向の概念から、プロダクトやサービスが生まれるんですね。その点、日本の企業は技術力はあるけれど、なかなか、Innovationを醸成する土壌、文化には乏しいように感じます。見せ方もあまり上手ではないし。だって、IT、tech分野のリーディングカンパニーは、全てではないとしても、やっぱりシリコンバレーから生まれるんですから。