“Acquisition” か”Engagement”か


ある記事を見て少し考えさせられたので、ご紹介。

Why Customer Retention Is More Important Than Acquisition (mashable)

顧客の引き留めが新規顧客の獲得よりも重要なのはなぜ?という内容。予算配分はどうすればいいの?という疑問や、”Acquisition” か”Engagement”か、パワーシフトするタイミングは?など、様々な場面で直面する課題ですね。


mashable IMAGE: CLICKZ

上の記事では、顧客獲得コストと既存顧客に対するエンゲージコスト(こんな言葉ないよね)を数値にして出して比較し、最終的には「顧客をリテンションしましょう!」という結論です。しかし、これはマーケット、企業のシチュエーションによって全然違いますよね。

そもそもスタートアップスのアーリーステージでは顧客そのものが少ないので、少数顧客とエンゲージメントしてエバンジェリスト(あるいはインフルエンサー)としてどんどん広めてもらうための施策を考えても投資回収速度が遅い。それでも我慢して続けるか、または顧客獲得単価(CPA)や広告費用対効果(ROAS)を見ながら広告予算の配分を決めて投下していく方に注力するか等、そのサービスの市場規模、また、会社の体力を睨みながら、いつまでにいくらプロフィットを生まなければ持たないのか、など逆算しながら考えなければなりません。

一般的には、世の中、レッドオーシャン市場が圧倒的に多いと思うのですが、同じレッドオーシャンでも、その製品がコンシューマー向けなのか、企業向けなのかによっても全然違います。前者の場合は拡散力の速さを期待できますが、後者の場合はせいぜい口コミで広がるのは非商用利用者の間(もし居た場合に限る)だけで、企業間での情報交換や拡散は生まれません。横の繋がりで広がるということは少なく、業務向けは縦割りで閉じられていますよね。「どこどこの企業が導入しました」というのは一対一の営業トークで安心感を持たせるために使える武器ではありますが。

まあ、どちらの場合も、エンゲージメントも獲得も必要であるというのが僕の結論ですが、制約が色々とあってどっかしか注力できない、というのであれば、全体市場規模とターゲットとなる”Currently Addressable”な市場規模を睨みながら、会社体力とシフトチェンジの「ポイント」がどこにあるのかを見極めなければなりませんね。手法よりも、「見極めのタイミング」がすべてだと思います。スタートアップスの場合は、フットワークの軽さしか武器がない訳ですから、いつでも方針転換してもOKという柔軟なマインドセットも必要。早期高収益を求めるか、長期ロングテールを求めるか。後者の場合はそれなりのポテンシャル市場規模が必要であることも忘れてはならないですね。