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「荒野で朽ちていく飛行機」の風景があまりに美しい件について
出典:wired.jp 「荒野で朽ちていく飛行機の風景:ギャラリー」
美しさの要因
意外性と対比。
最新のテクノロジーを搭載した飛行機がなぜ、このような場所で朽ち果てているのか。キラキラの金属物が突如出現するという自然と文明の対比。
時の流れの実感。
人工的に破壊された訳ではなく、悠久の時を経て、酸化し、劣化し、風化していく様。
人工物はやがて自然に還るという自然の摂理。
自然は悠久だが人間が作ったものは朽ち果て、やがて自然に還り、その一部となる。
人が作るものは、基本的に自然界に存在しているものからしか生み出せない。人工物が自然に還るというのは至極当然であるのですが、都会で日常生活を送っているとその実感を掴むことができない、というより、機会がない。このような写真はその摂理が現実として存在するという真理を思い起こさせるものとなります。
また極私的には、ナウシカ原作のコンセプトと言われている、自然と科学文明の対立、文明の破壊と再生を連想させます。また飛行機が朽ち果てていく様は、ナウシカ原作に登場する数々の古びた軍用機(バカガラスなど)も思い起こさせ、ファンとしては何ともいえない感傷に浸ることができます。ちなみにwired.jpに掲載されているディートマー・エッケル氏の写真は、全て不時着機で、乗組員は救助されたというもの。そこに死はない。
いずれにしても、廃墟や朽ち果てていく人工物などが放つ魅力は、人間の死生観、哲学と多分にシンクロするところがあり、考えさせられます。
朽ち果てるものは美しい。