一人称

東京にいるストイックなデザイナーに、

「tomo-kはどうして、

自分のことをぼくというのか」

と聞かれる。

どうしてと聞かれても、困る。

とりあえず、

「ピーターパン・シンドローム」

とだけ答えておいた。

ブログでもメールでも、話をしていても、

確かに自分への呼称は「僕」である。

ただ、弟とか、地元の連れとか、

仲の良い男友達なんかには例外的に「俺」を使う。

一人称は、とても不思議だ。

あまり社交的な場での言葉遣いにはあかるくないのだけれど、

この年にもなると、オフィシャルな場では、

「私」というのが適当なのだろう。

通常は、「僕」。

友達といる時は、「俺」。

これらにどういう違いがあるのか分からないが、

ニュアンスの問題のような気がする。

僕は(あ、やっぱり僕だ)、幼稚園だか小学校だか忘れたけれど、

同級生の中で一番

「オレデビュー」

が遅かったような気がする。

「オレ」

という言葉はとても悪い言葉なんだ、と思っていた。

だから、友達の前で恐る恐る

「オレさー、、、」

と言ったのが母親に見られているのが分かった時、

とてもバツの悪い思いをした。

そんな自分を見ていた母は、

口は真一文字に結んでいたが、

目は笑っていた。

娘二人の父親になった今、

この母の優しい目の意味が分かる。

 

でも、自分はいつまで経っても子供でいるような気がする。

 

ピーターパン・シンドローム

 

口から出任せだったけど、

あながち間違っていなかったかもしれない。