人への投資と成長する企業の関係について

24新卒採用向けと思われる企業のブランディング広告がちらほら流れる時期になってきました。少なくとも新卒一括採用は未だ主流なので、新卒の方向けに「こんな会社だけはやめておけ」という内容を書いておきたいと思います。学生はこのブログは読んでいないと思いますが、この内容は転職したい社会人にも当てはまると思います。

よく大企業と中小企業という分け方がされますが、もし選択できるとすれば大企業への入社をまずはおすすめします。大企業の良さというのは、やはり財務的体力があること。そして、(一部の企業を除いて)経営トップに権限が集中しないことが挙げられます。

まず、財務的体力について。

お金がある=新しいことへの投資ができるという点が大きなメリットです。その投資の中でも一番重要なのは「人への投資」です。たとえば、社員研修。社員の能力向上にどれだけお金を掛けることができるか。企業目線では組織開発という言葉がよく使われます。また資格取得や外部の教育機関でのリカレントに社費で通わせてくれるなど、人への投資を積極的に行っている会社は、新しい事業を始める時やピボットする時でもすぐに動ける人的リソースが準備できているので、停滞することがありません。要するに将来を見据えた準備を常にできることが大きな強みです。

二番目に、経営トップに権限が集中しないことについて。
中小企業で多いのは、経営者が人への投資を渋るケースです。典型的な中小企業の特徴は、目先の儲けを最優先すること。つまり「今すぐ儲からないことには投資しない」んですね。ですので、研修、教育と聞いた時に「それやって儲かるの?」という反応になります。また、中小企業はオーナー社長の公私の財布が実質同じになっていることが多く、すぐにリターンを生まないことに投資することは、「自分の財布が痛む」と勘違いしてしまい、二の足を踏むか、決定を先送りしてしまいます。結果的に、従業員の能力は向上せず、能力が高い人間も取ることができないので、停滞→衰退に向かってしまいます。ですので、こういう会社に入ってしまうと、スキルアップが軽視されてしまうのと、個人としても会社としても成長を見込めません。

また、外部のコンサルを入れての組織開発を渋る経営者もいますが、これは上記の「すぐのリターンが見えない」に加えて、「自分の悪口を言われるのではないか」という不安と恐れがあるからです。1 on 1 で社員面談を行う際、そこに自分が入っていないことが不安なんですね。でも、直上の上司や経営陣を前にして本音が言える社員は、ほとんどいませんよね。それに、人への投資をしてもいつかは辞めるんだろ、という態度を示す経営者もたくさんいます。一方、大企業は経営トップに権限が集中しないので(もちろん大企業でも権限が集中するところはありますが・・・)、組織をシステマチックに回すことができます。

便宜上、大企業、中小企業という分け方をしてしまいましたが、もちろん、大企業でも人への投資を軽んじる会社もありますし、中小零細でも素晴らしい会社はいくらでもあります。どちらにしても「浮かぶも沈むも経営者次第」です。まとめとして、一言でいうと人への投資について「それやって儲かるの?」と渋る経営者は、人をコストとしか見ていないのでおすすめしません。人への投資を軽んじている会社に将来はなく、経営者トップに権限が集中している会社は、経営者の器以上には大きくなりません。まあ、外から見てるだけではなかなか分からないことも多いので、中の人に実情を聞くなどして、リアルな情報収集に努めてください。

自分の将来を見据えた上で、会社選びをすることは本当に重要です。
それでは、学生の皆さん良い就活を!!