たゆたえども沈まず

いろんな人に会い、いろんな所に出入りしていると、景気の良い話から沈下衰退の話まで幅広い情報が入ってきます。

最近では数十億円のマンションをキャッシュで買ったとか、北海道のスキー場に行ったら物価が上がっていてホテル一泊一部屋20万円だったとか。でも、こういう人たちが口を揃えて言うのは、日本国内でありながら、そういう場所には外国人しかいない、ということ。百億単位の不動産をキャッシュで買っているのは中国人で、スキー場のホテルやレストランには日本人はおらず、外国人ばかり、それも東南アジア系の人が多いのだそうです。

こういう話を聞いていると昨今ニュースを賑わせている「貧しい日本」がクローズアップされます。レートの高い観光地や都心の不動産はもはや日本人のためのものではなく、外国人のためのもの。かつてロックフェラーセンターやゴッホの絵画を買い漁っていた時代の日本もありましたけれど、今となっては昔の話。今はこれが現実だし、いろんな意味で成熟し切った日本にとっては価値観の多様化も相まって、昔はこうだったと懐古する人も少なくなってきたような気もします。

僕が好きなフレーズの一つに、パリ市の紋章に記されている標語があります。

“Fluctuat nec mergitur”
「パリは、たゆたえども沈まず」

この標語を知ったのは、確かパトリック・モディアノの小説の中だったと記憶しているのですが、人間ってたくましいよな・・・と感じたことを覚えています。それ以来、自分の心の中でも「たゆたえども沈まず」はなにかあった時に気持ちを奮い立たせる魔法の言葉になっています。パリに限らず、どんな国でも街でも、戦乱、天災などの歴史の荒波に揺さぶられながらも沈まずに生き抜いてきた。そんな力強さを感じませんか。

景気の良い話とは裏腹に、ダメな日本がクローズアップされる昨今です。でも、いつの時代も人々は一生懸命働き、生き抜いて来たのでしょう。今日も飯がうまい、外の空気が気持ちいい、休憩時間の缶コーヒーに小さな幸せを感じながら、目の前の仕事をがんばってやってきたのでしょう。何かや誰かと比べるのではなく、自分にできることの一生懸命で日々を積み重ねていく。それだけで十分素敵なことだと思うんです。

というわけで、また明日から新たな一週間がスタートします。仕事山積でちょっとだけ忙殺され気味ですが、今週は今年の第一回目の(短い)東京出張です。

それでは皆さん、また明日からがんばりましょう。