「子どもに夢を託すな」のリクナビCMについて感じる違和感


このブログを読んで下さっている方は良くご存知の通り、僕は日々、youtubeを仕事のBGMにし、好きな曲をブログで紹介し、曲探しのためにも使っているので、毎日アクセスする大好きなサイトの一つです。そんな、僕の生活になくてはならないyoutubeですが、近頃、残念なことにリクナビNEXTの「子どもに夢を託すな」というCMが頻繁に流れます。

このCMを見て、

「ああ、そうだよな、おれ、自分の人生をあきらめて子どもに夢を託し過ぎてたな、いっちょ転職でもして夢を追うか。」

なんて思う大人が一体どれだけいるのでしょうか。よくあるホームドラマに出てくるサラリーマンのくたびれたお父さんはそういうキャラの人が多そうですけれど(「花より団子」の牧野つくしの父含む)、少なくとも僕の周りには一人もいないんですよね。だからか分からないけれど、このCMには、とても違和感(ネガティブな方)を感じます。ほんと、不思議。本当にサラリーマンってみんなそうなの?マジで?


というのも、周りにいる同年代の友人たち、年上の方々、みんな多かれ少なかれ、年齢関係なく何かに挑戦し続けている人ばかりなんですよ。仕事も遊びも楽しんでいるし、とてもパワフルで魅力的。取引先もそう。そりゃ年齢相応に落ち着いておられる方もいるけれど、人間的にも面白くてチャレンジングな方が多い。意外な趣味を持っていたりね。

僕はランナーですが、近頃のマラソン大会はエントリー開始と同時に締め切りというくらい人気で、40代、50代の方もガンガン練習して必死で走り、ゴール後は最高の笑顔で仲間たちとビールを楽しんでいる。マラソンって「克服型」のスポーツでめちゃくちゃしんどいんです。それでもこんなに人気なのはなぜでしょう。「定員一万人」の地方の大会でもエントリー開始から数時間で締め切りになってしまうのはなぜ? それだけチャレンジ好きな大人が多いからですよね。また、60歳をとっくに超えているけれど、僕の母は仕事で使う訳でもないのに、実家に帰るとなぜかいつも英語と中国語のCD聴いてるし。父もいつも勉強している。(ちなみに、両親から夢を託されたことは一度もない)

サラリーマン = 疲れて、ヨレヨレ、夢もなし

こういうイメージは一体誰が作っているのでしょうか。
僕もサラリーマンという立場ですが、子どもに夢を託すつもりは一切ない(先日の「自分にはコミットして、他の人にはコミットしない」という記事にも少し書きました)。当たり前ですよね、一度しかない自分の人生だからこそ、自分の納得出来るような生き方を常に模索しているし、夢を追い続けていたい。一分一秒無駄にしたくない。同じように子どもの人生は子どもの人生。いきなり「パパの夢、お前に託した」とか言われても迷惑千万でしょう。

僕は、子ども達には「早くパパのように好きなことを見つけてガンガン突っ走ってね」という感じなんですよね。きっと、そういう親の方が圧倒的に多いと思いますよ。ほんと、このCMに出てくるドブネズミ色したスーツ来て虚無感に包まれて夢遊病者のように歩いている大人たち(男女共に)って、TVの画面を通してしか見たことないんだよな。酔いつぶれて駅で寝ている人は良く見掛けますが。

仕事して疲れるのなんて、ゴルフして疲れるのと同じで当たり前じゃないのかな。スコア良ければ大喜びするし、大叩きしちゃえば落ち込むし。それを、「ゴルファーは皆、元気がない生き物である」と言われているような気がしてしまうんですよね。もちろん、ゴルフと違って「金を稼ぐ」というのは大変なこと。だからって、残りの人生諦めて子どもに夢を託すか?そして子どもに「夢を託すな」って言われるような、情けない大人になっちゃう大人ってそんなに多いの?

「いやいや、それは勝ち組の発想だよ」となるんでしょうか。確かに色々とありますよ、生きているんだから。うまく行くこともあれば、失敗することもある。絶望もある。でも、そこと「夢」は別の問題だし、ましてや転職(結局、リクルートは転職してもらわないと儲からない仕組みになっている)と直結する?


先の「サラリーマン=疲れてヨレヨレ夢もなし」というイメージは結局、「ネガティブキャンペーン」の典型ですよね。視聴者はポジティブなニュースは信用しようとせず、ネガティブな事を信用しがち。共感は良いニュースよりも、悪いニュースの方が得やすい。

【ポジ】
日本は素晴らしい国だよ!老若男女関係なく、みんなとっても元気で明るくがんばってるよね!メシは旨くて、寿命は世界一長い。日本人であるというだけで所得額の世界ランキングでトップ10%に入っているし、仕事は忙しいっていうけれど、祝日なんてめっちゃ多いし、自然は美しく、遊ぶところもたくさんあるし、どんなことだってチャレンジ出来る環境がある!そりゃ色々と問題はあるけど、どこの国だって同じだし、総じて最高だよ!

というイメージと、

【ネガ】
日本は元気がない。長引く不況で疲弊し、ブラック企業ばかりで社員はみんな「社畜」と呼ばれて、休みなんて全然なくて残業残業の日々、うつ病増加、自殺多し。なんとかがんばって働いても海外から移民めちゃ入ってくるから、英語出来なければ未来もない。原発問題もあって放射能で汚染されてるし、地震多いし、税金アップ。日本ってこれから先、どうなるんだろ。

どっちの情報を信じる人が多いか。
明らかに前者より後者の方なんですよね。でも例えば、「日本人=働き過ぎ」というのは真実ではない。まず、先進国の中でも休日と祝日がめちゃくちゃ多い。それに、基本的に働く時間と所得は比例します。逆にこれだけ働いているから、GDP三位の経済大国です。働き過ぎというなら、アメリカや世界のエグゼクティブはどうなるんだ。寝ませんからね、彼ら(成功するため恐ろしいほど働く、世界のハードワーク経営者8選)。でもその分、億単位の収入を得ている。お金いらないから時間が欲しい、というのなら、そういう生き方をしましょうという感じ。それも人の価値観に委ねられている。

いずれにしても、このCMにとっても違和感を感じていたら、同じように感じている方が他にもおられるようでした。切り口はバラバラですけれど。

「子どもに夢を託すな。」リクナビNEXTのCMはなぜ気持ち悪いのか – 常見 陽平

「子供に夢を託すな」CMうぜぇよ 現実的な人間に価値はないのか?あと、ガキに言わせるあざとさやめろ – ウェブはバカと暇人のもの

是非、リクナビと広告代理店の担当者の方、CM流して、無責任に「転職=バラ色の人生」と促しても良いから、少しは、みんなが見て元気が出て、良い気持ちになれるようなCMを作ってください。炎上マーケとか狙うのではなく。せっかくのクリエイティブがもったいないと感じます。「そういう風に思うあなたはターゲットではありません」と言われても、これだけネット広告での露出が多ければ、責任も大きいと思うんだけど・・・。

もちろん、「このCMを見て感動した!」という人もたくさんいます。上記はあくまで僕の個人的な見解です。いずれにしても賛否は脇に置いたとしても、クリエイティブはネガティブよりも、ポジティブな方が良いと思うんです。ネガティブな感情って、何も生まないでしょ。