普通に使えそうな「Pixlr」から、Autodeskの戦略が見え隠れする


社内メールで回ってきた情報、ブラウザベースのグラフィックソフト「Pixlr」の性能とスピードに驚かされました。

UIはこちら

まずレスポンスが早いので、ストレスなく使用可能。写真の加工には十分な機能もあるし、一からデザインすることもできます。コマンドの慣れは多少必要かもしれませんが、普通に使える。この「普通に使える」ということ、実はすごいことです。今までもローカルではなくブラウザベースでのグラフィックアプリケーションはありましたが、ちょっとした玩具のようなライトなものでした。しかしこれ、Photoshopまでは行かなくても、十分「普通に」使えることができると思います。UIはFLASHを採用しています。サーバサイドは恐らくFLEXでしょうか。

保存先は、デスクトップ、Pixlr Libraryと呼ばれるもの、Flickr、Picasa、Facebook。スマフォアプリはフルスペックでフリー配布されていますので、スマフォで取った写真の加工も可能。機能制限のある無料版を配布し、有償版でマネタイズするというオーソドックスなモデルです。

で、こんなアプリケーションどこが作ってるの?と思って調べてみると、はい、Autodeskでした。
今までAdobeの牙城だったフィールドにAutodeskがWEBアプリケーションを引っ下げて進出。Autodeskは最近「123D」など、iPadで3Dモデリングが可能な3Dツールもリリースし、個人使用の分野を次々と開拓しています。BtoBの業務アプリケーションでは世界的なCADベンダーが、ここ数年、個人ユースの廉価版製品を次々とリリース。そこへ来て「Mekers Movement」。流れに乗ったのか仕掛けたのか分かりませんが、ベンチャーが狙いやすい個人ユースによる草の根ボトムアップを、エンタープライズユースからパーソナルユースへのトップダウンモデルでガンガン攻めてくるAutodeskの本気が見て取れます。強力な技術力と資金力とリソースをもってして廉価版を作る。こういうことをやられるとベンチャーはおろか、さすがのAdobeもちょっとしんどくなりそうな予感です。Adobeは最近、売り切り型から、全製品を完全サブスクリプションライセンス制に移行すると発表しましたが、Autodeskに対抗する策なのかもしれませんね、分かりませんが。斜に構えて見ると、エンタープライズは飽和状態なので、パーソナルユースしか開拓する場所がない、ということなのかもしれませんが、いずれにしても最近のAutodeskの戦略はベンチマークしておいた方が良さそうです。マーケティングがとても上手。