イングリッシュ・ベイの風の音と空気の香り


夏を飛ばして秋が来たかと思うくらい涼しい日曜日。

向かい風は走るには辛いけれど、この時期のジョギングにしては極めて珍しく、ほとんど汗をかかない薄暮の12Kmランです。

人間は視覚だけでなく、五感で記憶する。

そう実感したのが、ちょうど大学の競技カヌー部が一日の練習を終えて片付けをしている横をサイクリストがスーッと横切った時でした。

夕暮れの日差しが季節に違わず強い反面、涼しい風が強く吹いてゴウと耳元で鳴った時、バンクーバーのイングリッシュ・ベイをジョギングしている気分になったのです。

イングリッシュ・ベイにいた13年前の夏を何故フラッシュバックしたのかは分かりません。ジョギングしている芦屋浜の景色もバンクーバーとは違う。でも、あの夏でも特有の涼しさ、からりとした空気と強い風、そして浜沿いのジョギングロードと、日差しのコントラスト。それらをちゃんと五感で覚えていたようです。

不思議なものです。
ちょっとしたことがきっかけで昔の景色を思い出す。僕にとってそのきっかけになるのは、風と空気の香りなんです。