副業人材の活用で業績を伸ばしている企業が多くなってきた

自分の顧問先はテック系企業が多く、どの会社も常にエンジニア(特にプログラマ)を募集しています。慢性的なIT人材の不足は、これからアクセルを踏んでビジネスを加速させたい企業、特にベンチャー企業の大きなリスクになっています。

とはいえ、真正面から中途採用をしようとしても人はなかなか集まりません。そこでリファラル採用やダイレクト・リクルーティングをするんですが、結果が出ている企業はごく一部です。そこで、僕が社外取締役を務めている企業などでは、副業人材の活用を積極的に推進し始めました。開発中の自社製品、プロジェクトを切り出しやすくし、0.2〜0.3人月でもジョインしていただけるようにすると、ハイスペック人材を比較的低コストで手に入れることができ、なおかつ人材不足による開発遅延を解消することができます。

これには色々と工夫が必要ですが、管理コストをできるだけ下げ、フルリモートでもteams、slack、バージョン管理ツール等を駆使してリアルタイムで進捗が分かり、副業人材が孤独や不安を感じないようにすることが必須です。

私の場合はLinkedIn等を活用してOpen to Work のエンジニアの方々と接点を持ち、勤め先が副業を解禁しており、なおかつ副業先を探しているエンジニアと面談を行い、自社で採用するということに取り組んでいますが、最近よく聞くのは「副業を会社として認めなければエンジニア人材流出が止まらない」という点です。

大企業を中心に副業を解禁している会社が増えてきましたが、これの一つの要因は良い人材を確保するためである、ということもいえます。さらにいうと、リモートワーク、在宅ワークが選択可能かという点も人材確保の重要な要素の一つになっています。

また積極的な見方をすると、受け入れ企業側のメリットとして、低コストでハイスペックな社外人材を助っ人として雇えるので、社内に新しい風を吹き込み、社内人材の活性化も期待できるという点、副業人材側からすると、収入を増やし、スキルと視野を広げるという面で双方にメリットがあります。

前述したテックベンチャー以外にも、私が関わらせていただいている別の大手メーカーでは、すでに社外副業人材の活用に積極的に取り組んでおり、専門人材をチームに招き入れてプロジェクトを推進するということで結果を出している(出しつつある)企業もあります。

こういう動きを肌身で感じている自分としては、このブログで何度も書いているように変化に柔軟に即応する企業と、そうでない企業との差がものすごい勢いで開いているということを実感しています。顧問業、コンサル業をやっていると、良くも悪くも客観的視点で色んな会社を見ることができますから、ここは伸びる、ここは右肩下がり、という会社はかなりの高精度で判断できます。

今日のニュースであったように円安背景に好業績に湧く大手企業がボーナスをたくさん支給できるのも、こういう柔軟な働き方を採用できる背景があるからだと分析しています。

大手企業の夏のボーナス、4年ぶり増加…増加率は81年以降で最高の8・77%(Yahoo News)

中小企業と大手の業績格差が益々開いていく理由は、中小企業の経営の意思決定がオーナー社長にほぼ100%依存してしまうからだといえます。多くのオーナー社長は自己の成功体験に基づいて会社を舵取りしようとしますが、10年前、20年前と今とでは大きくビジネス環境が変わっていますから、柔軟な判断ができず、決断を遅らせてしまい、いつの間にか取り残されてしまうんですね。

僕がいつも見ていて可愛そうだなと思うのは、その会社の社長はどうでも良いとして、そこで働く社員です。副業も禁止され、業績も上がらず、給与もボーナスも低い。逆にキーエンスのように厳しい会社では、高額な給料を支給することによって社員のがんばりに報いていますが、給料も安い上で、色々と制限がある会社にいる意味は全くないといえます(やりがいやビジョンに共感できるのであればそれもまた良しですが)。今からでも遅くないので、もし転職可能な人がいれば、どんどん動くべき時だと思います。今、思っている以上に(転職、副業含めて)稼ぐチャンスはゴロゴロしていますから。

というわけで、これから副業人材活用といった新しい取り組みと成果について、定量、定性評価の両面から注視していきたいと思っています。

楽しみ!