地図はもはや役に立たない。必要なのはコンパスだ。


「世界の変化のスピードがこれだけ速くなると、『地図』はもはや役に立たない。必要なのは『コンパス』だ」

伊藤穰一さんのバイオシティ構想に関する記事(wired.jp)を読んでいて出会った言葉です。これは、MITメディアラボの指針の一つだそうですが、この言葉ほど、今の時代に必要なものはありません。

世の中は急速に変化しており、一年先ですら予測出来る人はいません。会社という組織的な枠組みでの成長や、人生という個人の歩みでも、「その時点で頭の中に描いた道」のとおりに進むことだけにこだわっていると、変化が起きた時に対応できず、道にしがみつくあまり動きは鈍り、チャンスがあっても掴むことができないという意味で、とてもリスキーです。セレンディピティとも縁がないので面白くもありません。

重要なのは地図ではなく、コンパスです。

例えば目的地が「成功」(何をもって成功とするかは自由ですが)である場合、成功というゴールに対して最短で進むことができるのはコンパスです。何が起こるか分からないために地図は必要ないし、存在さえしません。古い車のカーナビが役に立たないのと同じく、地図は時代のスピードについていくことが出来ません。しかし、コンパスが指す方向さえ見失わなければ、その場その場の最短ルートを、柔軟に、しなやかに選択することができます。

コンパスが指す方向だけを見据え、地図なんて破り捨ててしまいましょう。

必要なのは、コンパスです。

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ハーズバーグのニ要因と承認欲求について


著名な心理学者であるハーズバーグの仕事に対するニ要因理論によると、人間には苦痛を避けようとする本能的な欲求と、心理的に成長しようとする人間的欲求という別々の欲求があるとのことです。言い換えるなら、苦痛を避けようとする本能的な欲求を満たしても、人間は「不満足感」が減少するだけで積極的な満足感を増加させることはないということです。また、逆に心理的な成長を求める人間的欲求を十分に満たすことができなくても、不満足感が増加するわけではないと言われています。

つまり、仕事の満足感を得る要因と不満を起こす要因は別物で、不満となる要因をいくら取り除いても、満足感を得ることにはつながらず、それはあくまで不満足感を減少させる効果でしかなく、仕事の満足感を引き出すには「動機づけとなる要因」にフォーカスしなければならないという訳です。

心理的な成長から来る満足感=「やりがい」を感じるのは、至極個人的な主観によるものです。何にやりがいを感じるかは人それぞれ。一方で成長企業は人を必要とするものですが、一方的な夢やビジョンを押し付けて賛同を得られれば御の字ですが、そこに響く人ばかりではないということも忘れることはできません。少なくとも、不満要因を取り除くことが企業努力として求められていることなのかもしれません。

我々の会社は誰に話をしても「すごいね!そんな会社、大阪にあるんだね!」と言っていただける会社ですし、そのような評価をいただいていることを誇りに思っています。しかし、そこに甘んじることなく、不満要因を取り除きつつも、妥協せずに賛同いただける人を探し続ける努力を怠らないように邁進して行きたいと思っています。もし、Quadceptの開発に興味がある方、是非、コンタクトください。よろしくお願いします。


努力を何で評価するかは人それぞれです。
僕は他者からの評価よりも、自分で自分を評価する事を何よりも優先していると思います。しかし、その評価は何かで可視化したいと思っている、言い換えれば(承認欲求)があるのも事実で、それはランニングしかり、休肝日しかり、カレンダーにレコーディングするようにしています。同じように、ほとんどが出張ベースとなる海外渡航についても、毎度感じるプレッシャーを可視化するために、本来剥がすべき手荷物バーコードを油性マジックで消しながら(消し忘れもありますが)も剥がさずに置いています。

このプレッシャーを感じた分、成長出来ていると自己評価して承認欲求を満たすくらいの弱さは持っていますし、馬鹿にされても良いと思っています。それで、明日もがんばれるのなら。

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注目のハードウエア・マッチングプラットフォームとの協業


世界中の色んなところと繋がることができるのがこの仕事の醍醐味でありますが、今朝は朝の10時から14時まで、4時間みっちりシリコンバレーからビジネスパートナーを迎えて会議。

何度かExitの実績がある有能なビジネスマンで、自身も博士号を持つ技術力も持ちあわせているアメリカ人ですが、本当にいつも良質なディスカッションを行うことが出来て本当に4時間あっという間なのです。ビジネスはやっぱり人であり、人柄ですね。

行き着く暇もなく、夕方からは台湾の注目スタートアップス「HWTrek」のCEOであるLucas氏、そしてスタッフの皆さんとTVカンファンレンス。HWTrekは、設立一年強、シリーズAラウンドで400万ドル(日本円:約5億円)を調達したことでも話題になりましたね。今後がとても楽しみですし、きっと、あっという間に大きくなって行くんでしょう。英語オリエンテッドでサービス展開している会社はあっという間に世界に出ますね。日本のスタートアップスも見習うべきです。

参考までに。The Bridgeの記事から。
台湾のハードウェア開発者コミュニティ・プラットフォーム「HWTrek」が、グローバル・ブレインなどから400万ドルを調達

ハードウェア製作の現場を進化させるプラットフォーム「HWTrek」のCEO Lucas Wangにインタビュー

わずか一時間のカンファレンスでしたが、スピード良く協業も決まりました。こういうの本当にワクワクします。彼らのウィークポイントは日本語と日本展開ですが、国内でのイベントも続々と決まっていますので、興味のあるクリエイター、エンジニアの方は是非、HWTrekに登録を。欧米を中心に5000人の登録者がおり、常時1200のプロジェクトが進行しています。

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よし、またテンション上がってきた!
また明日もがんばろう。

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移動しながらの熱中と失敗


何かに夢中になっている時は、視野が狭くなります。
下手をすると、音すら遮断してしまいます。

そんな時、たまにやっちゃうのが「電車乗り過ごし」。

本に夢中になっていて、本来降りるべき駅で降りられなかったこと数知れず。今日も本を開いて読んでいると、視界を狭めて音をシャットアウトしてしまったらしく、降車駅の手前でハッと窓の外を見て景色を確認し「あ、降りなきゃ」と驚くということになってしまいました。快速電車で、明らかにそれまでに2駅は停車していたはずなのに、全く記憶になかったのです。

怖い!


駅から数分のところに住んでいるということもあり、僕は電車が好きです。

乗れば目的地まであっという間に運んでくれるし、時間も(比較的)正確。乗っている間は本を読んだり仕事をしたり、有意義に時間を過ごすことができます。しかし、駅から遠ければ車通勤しか手段がありませんよね。車を運転するということは、Bluetoothで電話の通話くらいは出来たとしても、基本的には運転以外の生産活動を行うことができません。車社会アメリカの場合がまさにそうで、僕が良く出張するカリフォルニアのシリコンバレーやサンフランシスコは車通勤がデフォルトです。

でも、やっぱり車を運転することって非生産だと感じるのか(もちろん、エコや渋滞緩和という目的もありますが)、土地柄なのか、モビリティ系のスタートアップス、交通系スタートアップスなどが群雄割拠しています。自動運転車だけでなく、例えば、車を運転しながらスマフォを操作できる、仕事ができる、声で操作できる、そもそも車を運転しなくて済むように、Uberやシェアリングエコノミーが発達する・・・などです。

どちらにしても、人はいつの時代も移動する生き物です。

インターネットが発達する数十年前までは、「未来はネットワークの発達に伴って、みんな在宅ワークになるんだろうなあ」などと呑気に考えていましたが、なんのなんの。出張の回数は年々増え、人と会うことが増えています。

マンモスを追いかけていた頃と、実は何も変わっていないのかもしれませんね。

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システムの限界、その先にあるもの


ビジネスの世界ほど、無機質に見えて有機的なものはないだろうなと思います。ビジネスは人が人のために行うものだし、人が考えだすもので、人が生み出した金銭が介在する以上、その対価に対する価値観も千差万別だからです。

資本主義経済はよく、マネーゲームのように言われますし、金融経済は実際そうかもしれません。経済学的に言えば、個々(個人であれ、法人格であれ)の満足最大化(経済人を前提にした理論)が前提にあります。少なくとも、人間は損したくない生き物である、という前提は正しいかもしれません。経営者なら、出資額の最大化、従業員なら、切り売りした自分の時間の最大効用を求めますよね。

でも資本主義経済が成熟してくると、そのシステムの限界に気づいたり、充足感を感じなくなったり、勝ち負けに絶望したりする人が出始めるのも事実です。しかし、なんとかこのシステムの中でやりくりしなければならないため、モチベーションの置き場を金稼ぎではなく、公益性に求め始める人も増えてきますし、僕も実際、そのような人に良く出会います。

今のままではみんな幸せになれない、そもそも今の状態は健全ではない、なんでこんな仕組みになっているんだろう、健全な状態とは何だろう?そう感じるところからスタートし、その問題に対してテクノロジーであれサービスであれ、一つの解が芯となったビジネスを策定する。そのようなビジネスが成功するのだろうと思いますし、成功すべきだろうと思います。最終的に何をもって成功と評価するかについては「儲かる」という図式になると思いますが、成功ということは受け入れられている訳で、受け入れられるかどうかは受け手の成熟した考えにも依存します。

こうなると、従来の経済学では説明ができないことが多くなってくるかもしれません。とても、有機的です。僕も常日頃からそう感じ、行動経済学や経済心理学などの本を手に取ったりするのですが、そのようなアカデミックな理論よりも、もっと単純に、人とは何かという点に注目した方が良いのかもしれません。

さて、多少関連するところはありますが、原丈人さんのこの話は、とても興味深いので共感する人もたくさんいると思い、リンクしておきます。

原丈人氏・特別インタビュー 日本再生の鍵を担う「公益資本主義」

それでは、また明日も頑張りましょう。

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足掛けニ年を経てスタート地点に。大阪から世界へ、こうして歩みを進めています。


2014年初夏のミネソタ北部は晴天で涼しく、緑の青さと空の青さ、そして浮かぶ白い雲とのコントラストが鮮やかでした。

長いフライトから解放され、田舎町の空港で買ったコーヒーを片手に、背筋を延ばしながら車の運転席に座り、ハンドルを握りました。

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成田からミネアポリスまで直行便で飛び、さらにリージョナルにトランジットし、一時間のフライトを経てノースダコタのグランドフォークスへ。そこからレンタカーを一時間運転して州境を越え辿り着いた町に、400万点以上の取扱数、常時100万点以上の在庫を誇る世界最大級のオンライン専業の電子部品商社、Digi-Key Electronics があります。この場所から毎日、世界170カ国に部品を出荷している、電子業界では誰もが知る大企業です。

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僕達Quadceptチームは、本社の大会議室で、初めてお会いする社長、副社長、役員、各部マネジャーを前に、プレゼンテーション、及びディスカッションを行いました。もちろん通訳もなく、資料も会議も全て英語で、今では日常のことになりましたが、その当時の緊張感からすると、まあよくやったなあと思います。

今年の2月にも再訪し、僕は自分の誕生日を−20度以下の極寒の地、田舎のホテルのジムで迎えることになりました。しかし二回目の訪問ということもあるし、普段からWEBカンファレンスやメールでやり取りしていることもあって、顔馴染みのメンバーでとても楽しくミーティングを行うことができたのを思い出します。

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この度、足掛け二年の月日を経て、ようやく、Digi-Keyとの業務提携、及び、機能連携したQuadceptの新バージョン「version 9」を昨日発表することができました。ありがたいことに、今回のリリースは日経産業新聞のニュースにも取り上げられ、業界的には大きなインパクトとなったようです。

https://www.quadcept.com/ja/product/library.html

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僕達のような大阪の小さな企業が、このような世界的企業と業務提携を結ぶことができたということは本当に大きな出来事です。チームのメンバー、関係いただいている全ての皆さんのお力添えがあってのこそ。今年から本格的にシリコンバレーを起点に営業展開していますが、これを機にますますグローバル展開を進めて行きます。皆様の期待にお応えできるよう、また業界にイノベーションを起こすべく、まだまだ「面白い」ことをやっていきたいと思っています。

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最近ありがたいことに、ビジネスアライアンスのお話をたくさんいただきます。自分たちの会社にくらべれば何倍も何十倍も大きな企業からのオファーも多くて驚きます。これもコツコツとやってきたことの積み重ねが実を結びつつあるのだろうなと実感しています。

とはいえ、まだまだスタート地点。
ここからです。

例えば、過去を振り返ることがあったとして

その時はきっと、積み重ねた何かが形になる時だろうと。

普段は振り返る時間もなく、ただ目の前にある壁を乗り越え乗り越え、どうせ乗り越えなきゃならないのなら楽しまなきゃ、笑ってなけりゃ、前向いて、おもしろ可笑しく過ごそうよと思い、その思いを今と明日の活力にし、気が付けば遠くに来たなとたまに振り返りがら終電で缶ビールを飲んでる程度の凡人であったとしても、一人で出来ることなんてとても限られているから、こうしてみんなで喜怒哀楽しながら一緒にいるという組織という環境、それがやっぱり楽しく愛おしいのです。みんな、ええ奴だ。

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明日はいよいよ、今年イチバンの大きなリリースが出来そうです。
アメリカ、起きてるかー!!

alphabet Inc. のドメインに関する浅過ぎる考察

最近シリコンバレーに行って良く聞くのが、Googleはもはや検索エンジンの会社とは見られておらず、ハードウエアメーカーのイメージの方が強くなっているということです。

半導体関連企業を筆頭とするメーカーがGoogleの自動運転車、医療機器、ロボティクスプロジェクト、コンピュータ事業に続々とチップやハードを提供し、Googleも回路設計者や基板設計者、筐体側のメカ系エンジニアなどを引き抜きまくって自社開発しています。量子コンピュータに関しては、マウンテンビューのモフェットフィールド内のNASAエイムズ研究センターと共同開発しています。僕はこのような動きを、莫大な資本投下による事業拡大のスピードの速さから「Google」という名で継続していることに違和感を感じていたのですが、やっぱり、Googleを傘下に納める「alphabet」という会社を設立していたようです。知らなかった!

alphabet
https://abc.xyz/
スクリーンショット 2015-10-27 15.41.57(画像はalphabetサイトのキャプチャ)

しかもドメインがユニークです。aからzまでをドメインに入れることにより、聖書の「α(アルファ)でありΩ(オメガ)である、最初であり終わりである」という一句を思い出します。これは、つまり「初めがなくて終わりがない」つまり「永遠」ということを示唆しているのですが、インターネットの神を標榜としているのでしょうか、それとも、永遠を示唆しているのでしょうか。

まあ別に僕はジャーナリストでもGoogle Watcherでもないのですが、話を戻すと、IOTと言われていることって、別に特別でもなんでもなく、デバイスを通じてネットに接続できるものは全てIOTだし、その延長線上に車や家電や医療機器や農業があっても、何ら不思議なことでも新しいこともでない訳です。製品化の早い遅いはあったとしても。Googleがしていることはまさにそこで、インターネット上の無限のデータをインデックスしてしまった今、GoogleはGoogleではなくなり、alphabetのようなさらに上位のホールディングカンパニーを必要としたということで、すっきりしました。ちなみに、Googleの会長であったシュミットはそのままalphabetの会長に、セルゲイとペイジもalphabetの社長とSEOにそれぞれ就任し、GoogleのCEOには、サンダー・ピチャイが就任しています。

興味がある方は下記の記事も。

グーグルの再編成:新会社「アルファベット」の狙い(wired.jp)

Googleの「検索以外で初めての成功」はYouTube(wired.jp)

エスカレーション

というよりは、Improvement。

言葉遊びみたいになってしまいますが、エスカレーションは英語的には「上申」などの意味になってしまいます。どちらかというと、拡大という意味でも、ネガな感じ。同じ「拡大」「上昇」なら、Improvementの方がポジなイメージかなと。しかし、僕はエスカレーションという言葉も大好きです。

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話は変わりますが、エスカレーターって実はとても古い歴史を持っています。「エスカレーター」の商標を持っているのは、オーチス・エレベータ・カンパニーです。彼らが商標を獲得したのは、もう100年の前の話です。このクラシックなエスカレーターは今や高級デパートくらいでしか見られなくなっているとは思いますが、この歴史に味があるんです。

テクノロジーとデザインが融合した時、これだけ長く人の歴史にいることができるエスカレーターは素晴らしい発明だなと思います。

転じて、常に、上昇志向で。

共産主義めいた造形に惹かれるの 少なくとも建築に関してはね

共産主義めいた造形に惹かれるの 少なくとも建築に関してはね

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これは、mini 「Go with Your Got 」キャンペーンに出てくる Ana Kras の台詞です。

こういう台詞を持って来られると弱い。こんな台詞なんて世界観の形成時は、当たり前の手法、予定調和、スタンダード、定番、杓子定規(関係ない)など、どんな風に言われても構わないけれど、弱いものは仕方がない。ちなみに「Go with your gut」とは、「自分の勘を信じろ」というような意味ですが、最初、「Gut」をドイツ語のグート、つまり「良い」と掛けているのかな、と思ったりしましたが(だって、miniは今や英国車ではなく、BMW傘下なんですから)、やはり英語のGutのようです。

さて、クルマのキャンペーン(特に欧州車)は、過去の、メルセデス・ベンツ Eクラス カブリオレの「”FOUR” オンナの4つの顔。4つのポエティック・ムービー」シリーズなど、ある人格に寄り添い、ライフスタイル、哲学、日常生活の中に溶け込む風景としてPRするケースが多く、とても精錬されていて非常に好ましく感じます。共感というか、スタイルというか、良い意味で押し付けがなくて良いですね。

そして僕のように、まんまとツボった市井の人が、喜んでシェアしちゃったりするものだから、もうね、色々と上手いこと出来てますよ、世の中は。

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Youtubeでもショートムービーが公開されているので、ペタッとしておきます。