感動ポイントは人によって違う

人は生まれ育った環境によって、「感動するポイント」が違いますよね。物の好き嫌いだけでなく、例えば、都会育ちの人間にとって自然いっぱいの環境は憧れるけれど、逆に自然に囲まれて育った人間は都会のビル群を見て感動する・・・といった具合にです。

というのも、先月後半の週末に、サンタクルーズから17miles driveに向かって車を走らせながら、都会から離れたアメリカのサバービアの光景がどこもそうであるように、ひたすら農場、とか、ひたすら砂浜、とか、ひたすら野原・・・とか、そういった雄大な大自然の光景に見とれていた僕の横で、一緒に出張に連れて行った開発マネジャーが、助手席で無表情かつ無感動に眠そうな顔をしていたのを思い出したからです。本当に、あまりに無感動なので、笑ってしまったくらいです。

僕は雄大な光景に「すごいな」「いいなあ」「あそこはどうなっているんだろう」と、いちいち感嘆の声を上げながらハンドルを握っていたのですが、彼は砂丘を見ると「なんか鳥取みたいですね」、原っぱが続く道路を見ると「福井県っぽいですね」、そして、港町を見ると「明石みたいですね」と、つまらなさそうに呟くのです。

(彼に「兵庫県の明石」と称された小さな港町)
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確かここは野生のラッコで有名なモントレー湾のモス・ランディングだったと思うのですが、この小さな港町の、小さな桟橋に係留されているヨットの上にアザラシが寝そべっていたりするような光景なんて、僕にとっては素晴らしいの一言に尽きるのですが、それでもこれを見て無表情に「明石ですね」と言ってのけるこの男、そして、この男が実際に存在するという事実に面し、軽く目眩を覚えつつ、それでも人の感動ポイントって随分違うんだなあと考えさせられました。

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もちろん明石が悪いと言っているのではなく(逆に僕は明石が大好きですが)、僕は単純にこういうのんびりした光景に感動してしまうのですが、彼に聞くと、生まれた時から山と自然に囲まれて育ったらしく、自然や動物には特に感動せず(恐らく、いやというほど見て来たからでしょうね)都会の賑やかな雰囲気が大好きらしい。そういや確かに、サンフランシスコのダウンタウンや、サニーベールの駅前通りではテンションすごかったなと思い出しました。

僕は逆にサンフランシスコのダウンタウンは、確かに歴史を感じる古いビルディングや急坂をケーブルカーが走っている様は好きですけれど、でも、そこまでではないですもんね。それはきっと、ある程度都会の中で育ったからだと思います。東京よりは神戸が好きだし、大阪よりは信州が好きですから。

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まあ笑い話ではありますが、人によって「感動ポイント」は違うのですから、価値基準であろうが審美眼であろうが、どんなことでも押し付けることは良くないなと考えさせられました。

一昔前の車が暖機を必要としていたように

週の後半の木、金はどっぷりと飲んでしまったのですが、今朝は朝から用事が詰まっていたのですっきり活動をすることが出来ています。とはいえ、やはり摂取したものは消化し排出しなければならないということで、夕方の早い時間に15Kmランへ。明日は20Km以上走ろうと思っているので、今日は抑えることにしました。

人によるのかもしれませんが、僕にとって、走り始めは一番苦しく、しんどい時間です。呼吸が整うまでは息も苦しいし、筋肉や関節も、錆びついた歯車を必死で回さなければならないような、ミシミシという音すら聞こえそうな感じで、とても重たいのです。しかし、だいたい3kmを超えてくると、関節にも油が回って滑らかさが出てくるし、身体も温まって呼吸も安定してきます。こうなってくると、後は体力が続く限り走ることが出来るのです。まるで、一昔前の車が始動する前に「暖機」を必要としていたのと良く似ていますね。

今日も美しい夕陽を見ることができました。今からゆっくり食事をして、本の世界に飛び込もうと思っています。

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今までの10年と、これからの10年

私事ですが(個人ブログですから私事ばかりなのですが)、2月2日に40歳の誕生日を迎えました。

皆さんからのたくさんのお祝いメッセージに感謝しつつ、10年という一つの区切りに際し、今までの10年とこれからの10年に思いを馳せる一日となりました。もちろん、ここまでなんとか無事に生きてこれたのは、家族と周りの皆様のおかげであることは間違いなく、感謝してもしきれません。

ちょうど10年前の同じ日に、自分は何を考え、何を書いたのだろう・・・と思った時、すぐに過去の記事を辿ることができるのがブログを長く続けている一つの良さだと思っています。2006年2月2日の記事では、30歳になったばかりの自分が残した、その当時の生の言葉を読み返すことができます。一部を抜粋してみます。

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まさか、自分が30歳になるなんて思わなかった。
何故?と問われても、明確な答えはない。
ただ、「30歳」という言葉の響き自体が、
自分にとって遠いものに思えていたのは確かだ。
随分、歳を取ってしまった。

でも、何と言う事はない。
ただ、時が過ぎ、日付が変わっただけの話だ。
かつての自分が思い描いていたほど、
「30歳の男」は、大人でもないし、オッサンでもない。
あくまで主観的な意味で、ということだろうが、
つまるところ、自分は自分ということなのかもしれない。

<中略>

これから10年。
どんなことが待ってるのだろう。
どんな風に生きていこう。
これからゆっくり考えてみよう。
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引用するのも恥ずかしいくらいクサい文章なのですが、現実は現実として受け入れなければなりません。それにしても、その時から10年経過した今の自分ですが、外見はめっきり老けても、中身はほとんど変わっていないような気がします。でも一つだけ確かなのは、少なくとも「前進」はしているんじゃないかなということです。そこだけは、少しだけほめてやっても良いかもしれません。人と比べればほんの僅かかもしれませんが、積み上げてこれたものもあるし、出来なかったことが出来るようにもなったし、見える世界が少しは広くなりました。たとえ、僅かでも。

これからの10年を考えた時、きっとやっていることは変わらないだろうなと思います。毎日働き、考え、読み、書き、飲み、食べ、走るのでしょう。40代は不惑の歳とも言いますが、昔と比べて寿命が伸び、70歳を超えても働かなければならず、変化のスピードがとてつもなく早い現代において、40代なんてまだまだ若く、惑うこともたくさんあるでしょう。しかし結果として、今までの10年における数々の選択が大きく間違ってはいなかったと自己評価できるのと同じく、これからの選択も、きっと間違いではない、それはスティーブ・ジョブズの言葉を借りれば、

「未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない」

うん、信じる。そういうことなんだろうと思います。
この点だけはしっかりと思いに留めて、日々を丁寧に、そして納得して塗りつぶしていけるように。そして、地図ではなく、正確に方向を指すコンパスを頼りに歩んで行きたいと思います。

という訳で、これからもご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

松田知樹

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とはいえ、アホなことはしますから!笑

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まるで箱庭のような

僕達は箱庭のような国に住んでいるなと、電車に揺られて通勤している時、ふと思いました。

小さい国土に決して大柄ではない人種が1億2千万人も住み、狭いエリアに建物が集中し、それらがこじんまりと、しかし、整然と清潔に並んでいて、道行く人々からは米国や欧州のように多民族の多様性は感じず、髪の色も肌の色も同じ単民族が秩序正しく行動しています。そして、微妙で繊細な人間関係がその上に構築されています。本当に繊細です。

道幅や建物と建物の間隔、駅の通路や天井の高さも含めて、とてもこじんまりしているけれど、決して画一的ではなくて、バラエティ豊かな店や趣向を凝らして微妙に差別化された、徹底的にディティールまでこだわったお店が軒を連ねています。まるで、箱庭や盆栽のような・・・そんな感じがします。これらが日本の特異性を表していると思います。海外の人にとっては、とても面白く、興味深い国なんだろうなと感じます。

こういう特異な国の中で育つと、ある人にとっては外国に出て行くのはイヤ、この守られている感じが心地よく感じる人もいれば(守られている感じはとても良く分かります)、窮屈さを感じで日本を離れる人もいて、人それぞれですよね。

広くて大きくと自由なのと、狭くて繊細で小さいのと、どちらが良いか悪いかではなく、世界にはそれぞれの国特有の独自性があって面白く感じます。


さて、今日の写真は町並みが美しいビーチタウン、カリフォルニア州のcapitola(キャピトーラ)です。上の写真はビーチ沿いの”zelda’s”での朝食、下の写真は土曜日の朝にビーチでくつろぐ人々です。

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スタンフォード大学の街、パロアルトについて

展示会が始まる前に、パロアルトのPlaygroundへ。

Playgroundについてはほとんど何も知らされていません(情報統制がしかれている様子)。サイトもご覧のとおり、ティザー感がバリバリです。Playgroundはハードウエアに特化したアクセラレータプログラムで、オーナーは、かのAndroid生みの親、アンディ・ルービンです。中に通され、Vice Presidentにミーティングルームで聞いた情報はほとんど公開できませんが、ファンド総額は恐ろしい数字(数百億円と思ってください)、エンジニアのメンターが多数常駐し、ハードウエア開発の支援をしています。いやはや、こんなことされたら・・・恐るべしシリコンバレー。

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ご存知の通りパロアルトと言えば、スタンフォード大学です。全米トップ大学の一角を占め、SUNやGoogleを生み出したTech大学としても有名。西海岸では、UCバークレー、Caltechと並んで優秀なITエンジニアを輩出しています。また、年収1500万円以下の家庭の子弟は学費がタダという金持ち大学。折角なので移動の合間に、そんな名門中の名門スタンフォードを訪れました。

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卒業生であるハーバート・フーヴァー第31代合衆国大統領にちなんだ高さ86メートルのフーバータワーがスタンフォードのシンボルです。
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展望台からの眺望は抜群。
見渡すかぎり(と言えば大袈裟ですが)キャンパスが広がります。日本でこの広さに対抗出来るのは北大くらいではないでしょうか。しかしキャンパスの美しさったら!
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ベルです。
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全米屈指の広さを誇るスタンフォードでは、学内の移動は自転車かスケボーがメジャーです。
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ギャラリー風に紹介させていただいたスタンフォード、いかがでしたでしょうか。この大学を中心にシリコンバレーには秀才が世界中から集まっています。エコシステムですね。

それにしても、一昨日のレセプションパーティーでラッキーにもゲットしたAppleWatch、かなり役立っています。

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【検証】僕達はかつて海だったところを走っている

友人NさんがシェアしていたデイリーポータルZの記事がとても良く、今日はその真実を探るべくジョギングをしてきました。というのも、その記事はかつて防波堤だったところがそのまま道路になっていることを、千葉の浦安と兵庫の芦屋で検証している記事で、芦屋の防波堤跡は僕は日々走っているとても身近な場所だったからです。

浦安と芦屋の海を失った防波堤(デイリーポータルZ)

芦屋で臨港線と呼ばれている道路沿いのコンクリートのこの壁が約50年前まで海と陸を隔てていた防波堤です。

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赤が自転車優先、緑が歩行者優先で色分けされていますが、下の写真の向かって左側はかつて海だったところ(埋立地)になります。写真に写っているのは兵庫県立国際高校という授業を英語で行う帰国子女が半数を占める高校です。そのさらに海側にはシーサイドタウンがあり、今では運河を挟んでさらに南側にも広大な埋立地が広がっています。この防波堤も随分内陸に位置するようになってきました。

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右側はかつて防波堤に守られていた宅地です。明らかに埋立地側よりも海抜が低いですよね。いつも走っているところなのにあまり意識したことはありませんでした。改めて見ると、この作りは明らかに防波堤ですよね。芦屋浜は1969年から埋め立て事業が始まりましたので、今から46年前、ここから先は海だったということが分かります。

かつての防波堤に向かう傾斜です。

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記事によると、防波堤は相当に頑丈な作りになっていて、破壊するのが大変だそう。それに別に破壊しなくても埋め立ててしまえば、土台としてはしっかりするので良いような気がします。

ここはかつて水門だったんですよね・・・感慨深いです。

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芦屋浜はかつて、松林が美しい砂浜でした。
今でも芦屋川沿いの公園にその名残を見ることができます。今日は1月17日。震災で亡くなった方の慰霊祭が行われていました。走ったのは夕方なのにまだ記帳に訪れている人がいました。こういう光景を見る時に命について考えさせられます。

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人間のすごさは、一人一人は小さいにも関わらず海を埋め立て、建造物を作ることです。それはまるで大きな蟻塚を作る蟻のようでもあります。僕が巨大建造物に惹かれるのは、そういった点からかもしれません。

人、感謝、落ち着き


一週間の東京出張を終え、新幹線で帰阪中です。
ようやくゆっくりと座った気がします。

今週は本当に毎日、ありがたいことに朝から深夜までビッシリ予定が詰まっていて、一人でご飯を食べることが全くありませんでした。色々と体力的に挑戦となる一週間でしたが、様々な人とお会いでき、それら全ての出会いは財産となりました。

今週お会いした皆様方、一人一人に御礼を個別に言うことはできませんが、本当にお会いできて嬉しかったです。ありがとうございました。

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会食で散々飲んだ後でも、やっぱりシメはハイボールです。旨い!

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共通言語

怒涛の打ち合わせと分刻みの移動ラッシュ、移動中の地下鉄ですらメール対応に追われながら、最終の2時間半に渡る会議を終えた後、「マラソン」という共通言語で話す取引先の社長と酒を飲みながらのアフターミーティング。

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今日学んだことを備忘録として。

・100kmマラソンは絶対に経験すべし。
・丹後半島ウルトラマラソンをまず経験すべし。
・村岡ダブルウルトラランニングという兵庫県の大会は、標高差が尋常でない上にマイナー大会ゆえに人もまばらでかなり精神的に追い込まれる。精神力を鍛えるにはベストかも。
・飛騨高山ウルトラマラソンはかなりきつい。でも、宿場町を走るからメジャーな大会である。
・UTMF(ウルトラトレイルマウントフジ)に出る人は変態中の変態である(完走した友達を、僕は知ってます・・・しかも女子・・・)
・素人はまず、六甲縦走で足腰を鍛えるべし
・ウルトラマラソンの各サイトにアクセスすれば分かるが、大会の題字は大抵、筆文字フォント(個人的に爆笑)

なるほど!
・・・てか、僕のようなファンランナーは出れないし、絶対に出ないし!!笑

新幹線で考える地方と自分の関係

東京に向かう早朝の新幹線から更新です。

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昨日、広島の地方都市から帰って来ました。
向こうでは隣組で協力しながら田んぼで行う「とんど焼」を見、もうすっかり年老いてしまった親戚筋や、小さい頃、遊びにいく度に世話してくれた父の同級生や近所の方などと一緒に日本酒を酌み交わしました。若い人(アラフォーなんて全然若い)がいないので、物珍しいのか皆さん寄って来てくださいました。とても楽しい一時でした。

近代史における日本人は農耕民族で、土地に根付いて畑を耕し穀物や野菜を育て、村や集落など近所の人達と協力しながら土地に寄り添って生きて来ました。土地を離れるということは逆に大きな挑戦だったのかもしれません。社会の仕組みがかなり変化した現代でも、そういった土地に根ざす人々がいるからこそ、農業が営まれ、里山が管理され、ある人たちにとっては帰る場所になっているのでしょう。

高度に交通インフラが発達している日本では、都市と地方との距離はさほど遠くはありません。今回の僕のように、週末を地方で過ごし、帰宅した翌朝には新幹線で東京に向かう・・・ということも十分に可能です。高齢化している地方だからこそ、何かの形で関わりを持ち続けていくことが大切だと実感しました。自分も若いと思っていたけれど、親世代が徐々に高齢になって行くのを見ていると、専門的なこと(例えば農業や山仕事など)は何も出来ないけれど、逆に出来ることは学びながら手伝わせてもらいたいなと思っています。

さて、今週は東京で生活です。
皆様も素敵な一週間をお過ごしください。
 

気付きの備忘録

今夜4軒飲み歩いて気付いたこと、学んだことを備忘録として。

・人類は重力というレギュレーションを越えてワープ技術を獲得して初めて宇宙人とダイレクトに接触できる。逆に言えば、ワープ技術を持たない人類は未だ宇宙の中では原始人的な扱いであるからこそ、宇宙人からは無視されている存在である。

・言葉の力というものがある。いかに、分かりやすく噛み砕くか。そこに、コミュニケーションが存在する。

・既存のルールの延長戦上ではイノベーションは生まれない。銀座住まいという住所を得るためには、公共駐車場に車を入庫し、二度と出庫せず、車で寝泊まりし、そこで廃車にするくらいのメソッドジャンプが必要である。

・傍流から新しい物が生まれる。

・「なんとなく上手く行っている」という感覚が実は一番重要である。戦略、手法は結果があって初めて良し悪しが判断されるが、感覚的に正しいと思うもの、脳波が本能的に一直線に向かう方向に、時間の逆行と予知が存在する。

こういう風にリスト化すると・・・今日出会った人々は皆、異次元の世界に存在する人達だなあと冷静に思うものの、実はそこに真理があるのかもしれないと思う今日この頃です。(笑)

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