人が時代をつくるのか、時代が人をつくるのか

大阪市立美術館のポスター。

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モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、マティス、ピカソ。

画家だけでなく、哲学者も、作曲家も、その時代が人を作るのか、一塊のグループが時代を作っているのか。三国志や戦国時代のように、ただ歴史的に人気がある時代なのか。経済学の基礎はアダム・スミスから始まりケインズから現代に至るまで派生がたくさんある。でもやっぱり、アダム・スミスとケインズが偉大だ。倫理学はアリストテレス、プラトンからスタートし、カント、ベンサムの功利主義に至るまで続く。でも倫理学も哲学も、アリストテレスとプラトンが偉大だ。これから先はどうなるんだろう。今の時代が未来の人達にとって人気のある時代になるんだろうか。それについては知る良しもないけれど気にはなります。

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大阪市立美術館の「デトロイト美術館展」。
こんな画家たちの原画が見れるのなら行きたい。2年前にLAのゲッティミュージアムでゴッホの「アイリス」とセザンヌの「散歩道」の原画を見て(記事「ロサンゼルスの光と陰を感じる」参照)、圧倒的な力の前に立ち尽くして以来の何かを感じたいと思います。

人類史上初めて超高齢化社会に生きる者として

Yahoo!ニュースより。

65歳以上人口、4分の1超=全県で15歳未満上回る―15年国勢調査

これが何を意味しているか、他人事ではなく自分事として考えてみる良い機会です。これ、大袈裟でもなんでもなく人類の歴史が始まって以来初めての社会です。前例のない社会、「人類初」の重みです。既存の経済学はおろか、人類学も、下手したら社会学も当てはまらない社会です。

今からたった14年後の2030年には65歳以上が40%になります。リタイアして年金生活・・・なんて夢のまた夢。お金持ち以外優雅に生活できないですよね。年金なんてある訳ないよね。AIとロボットに頑張ってもらうしかないよね。今の社会を維持したいならAIが代理できない儲からない仕事に老若男女関わらず80歳超えて死ぬまで就いて働こうね。こういう社会です。14年後なんて我が子はまだ20代です。うーん厳しい。

ネガティヴに言えば衰退する国家に生きる者として、ポジティブに言えば、シュリンクを前提とした新たな経済を編み出す良い機会になります。さあ、何を考えて今働きましょう?国家としてどんな社会を目指しましょう?

バイツェンを優雅に飲んでる場合じゃないなあ。

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知的であるかどうかを見分ける方法

知的であるかどうかは、五つの態度でわかる。という記事を、Books&apps で見掛けたので、自戒を込めて引用します。

一つ目は、異なる意見に対する態度
知的な人は異なる意見を尊重するが、そうでない人は異なる意見を「自分への攻撃」とみなす

二つ目は、自分の知らないことに対する態度
知的な人は、わからないことがあることを喜び、怖れない。また、それについて学ぼうする。そうでない人はわからないことがあることを恥だと思う。その結果、それを隠し学ばない

三つ目は、人に物を教えるときの態度
知的な人は、教えるためには自分に「教える力」がなくてはいけない、と思っている。そうでない人は、教えるためには相手に「理解する力」がなくてはいけない、と思っている

四つ目は、知識に関する態度
知的な人は、損得抜きに知識を尊重する。そうでない人は、「何のために知識を得るのか」がはっきりしなければ知識を得ようとしない上、役に立たない知識を蔑視する

五つ目は、人を批判するときの態度
知的な人は、「相手の持っている知恵を高めるための批判」をする。そうでない人は、「相手の持っている知恵を貶めるための批判」をする。

知的である、というのは頭脳が明晰であるかどうか、という話ではなく、自分自身の弱さとどれだけ向き合えるか、という話であり、大変な忍耐と冷静さを必要とするものなのだ、と思う。

分かっちゃいるけど、ついつい出てしまうこともたくさんありそう。実際、心当たりあるし。常に自己チェックですね!

ちなみに、このBooks&appsを書いていらっしゃる安達裕哉さんですが、7月27日の第49回グローバル人事塾に「普通の会社が飛び抜ける 新時代コミュニケーション活用!」というタイトルで登壇してくださいます。場所は東京の麻布。詳細はまもなく人事塾公式サイト公式Facebookページで告知されると思いますので、要チェック。

今日の写真は快晴のシリコンバレー、El Camino Realです。
記事とは直接関係ありませんが、梅雨を吹き飛ばしたいので掲載しました。ちなみに、僕は今、日本にいます。

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家を飛び出す コロッケを買うために

今日はカフェごもりを決めていたのですが、家族が外出とのことで自宅にいることにしました。もう少し正確に言うと、娘たちが出掛けようが何をしようが折角こんな良い天気なんだから日当たりの良いカフェなど探しそうと思っていたのが、いざデスクに座るとあっという間に時間が過ぎてしまってタイミングを逸しただけのことです。

普段は賑やかな家が、自分ひとりだと本当に静か。

仕事も捗り、Apple Watchが発するアラーム音(一時間座りっぱなしだと、「健康のために立って運動しなさい」と促してくれるのです)が鳴っても無視しつつ、ああ、疲れたと思って時計を見ると17時半。尻に根が生えるほど座っていたし、お腹も空いたし・・・と空を見つめると、そこに何故かコロッケの姿が・・・

そうだ、コロッケを食べよう。

自宅から歩いてすぐのところに 「あしや 本竹園」 がありますが、そこのコロッケとミンチカツが最寄りで行けるところ。今でこそ様々に工夫を凝らしたコロッケ専門店があり、それぞれに人気を博していますが、昔はコロッケと言えば「竹園」だったのです。ついでに、今日も一日がんばったご褒美と思って「よなよなエール」も購入。

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まだ薄明るい時間から飲める幸せ。

スピーカーから流れる 「Bill Evans Trio – Detour ahead」 を聴きながら、受験生の頃にKISS FMで聴いていた世界的JAZZピアニスト小曽根真さんの 「ozmic notes」 を思い出し、意外と二十数年前って最近なんだなと感じたりします。

自動運転キットに見るトレンド

iPhoneとPS3のジェイルブレイクを世界で初めて成功させてその名を世界に轟かせ、自動運転カーをわずか一ヶ月で自作して更に世界を驚かせた天才ハッカー、George Hotzが今年末までに1000ドルで自動運転キットを販売する予定・・・とのニュース。わずか1000ドルのキットですよ。実用性、安全性はさておき、ブッたまげてしまいました。記事のソースはこちら。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

Teslaに挑戦する自動運転車ベンチャー、AIが人間の運転を見てドライブ技術を学ぶ (Emerging Technology Review シリコンバレーからの先端技術分析レポート より)

George Hotz’s Comma.ai snags Tesla engineer to work on autonomous car tech (the verge)

よくよく読むと、 “自動運転キットはドライバーの運転をアシストする機能で、Tesla Autopilotと同じコンセプトとなる。Googleのような完全自動運転ではなく、運転の責任は全てドライバーにある。” (Emerging Technology Review より) とのことで、あくまで運転「支援」システムですが、それにしてもすごいですね。

最近オートモーティブ界隈のスタートアップスが群雄割拠しています。例えば最新の車を買うとコストが莫大に掛かりますが、今乗っている車にそういうデバイスをオンボードするだけで、最新のコネクテッドカーのように危険検知したり、コミュニケーションができたり、運転支援ができるようなツールがあれば、みんなもっと喜ぶし広がりますよね。

日本のスタートアップスPyrenee もその一つ。ダッシュボードに乗せるだけで危険検知し事故を未然に防いでくれる支援キットです。最初に目にしたのは昨年の SEMICON Japan の World of IoT でしたが、その同じ週の週末に行われた Gugen2015 にも出品されていて、同じ週に異なるイベントで二度も社長と顔を合わせてお互い「おお!」と驚いたことを覚えています。ちなみに Gugen2015 では優秀賞を受賞されていました。

車そのものも良いですが、こういうキット化することによって誰もが手に届きやすいものを作るというのも社会的な意義があって素敵だと思います。当分オートモーティブからは目が離せません。

(サンフランシスコでの運転風景)
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非日常を感じたいなら

「日常」という言葉は「自宅」と密接に結びつくと思っているのですが、裏を返せば、自宅としてイメージ出来ないものは非日常ということになるのかもしれません。というのも、先ほど調べ物がしたくて画像検索すると、偶然、素晴らしい家々の画像がスクリーンに広がり、しばしの空想に浸ることが出来たからです。

皆さんも興味があれば、 「amazing cliff side homes」 というキーワードでGoogle画像検索してみてください。そこには非日常の光景が広がります。本物の家からコンセプチュアルなもの、空想のものまで含めて。

名称未設定

国力とは

中国の工場を見学に行くと、若い人ばかりが手を動かして働いているのを目にします。とにかく、若い人が多い。勝手な想像ですが、日本の高度経済成長期に地方から集団就職で都会に出て働いていた親世代がいたという事実をプレイバック映像で目にしますが、今の中国もまさにそれだと感じます。

基板の手実装の風景
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もちろん、一人っ子政策の影響で中国も逆ピラミッド、近い将来、日本と同じような状況になる(あるいはもっと深刻)のは目に見えていますが、今の労働力を支えているのは地方からの出稼ぎの若者たちです。

女の子もいっぱい働く風景
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一概には言えませんが、このような光景は手による労働に支えられた経済であり、今後AIの台頭でガラッと代わる労働の光景の中でも、まだ残された「手による労働」が世界のものづくりを支えているんだなと感じます。しかし、このような経済もいつまで続くか分かりません。でも、とにかく若い労働者が多いというのは、日本のそれとは大きく異ります。

僕は40歳ですが、これからの日本を考えた時に75歳、いや、80歳まで何らかの形で働かなければならない超先進国に生きている自分の覚悟です。

移動時間すら作業の時間として見積もってしまう悪癖

新大阪駅発東京行きの始発新幹線は6時の「のぞみ200号」。

まだ5時台であるにも関わらず在来線から新幹線のホームへと向かう人も多く、一日の始まりを感じます。眠たい目をこすりながらキャリーバッグを引いているビジネスマンを見ると、おはようございます。今日も一日がんばりましょうね。と、爽やかになる反面、京都駅では、この人は祇園で朝まで遊んで東京に帰るんだろうな(あくまで想像)という正体不明の人も多く乗ってくるのが面白いです。ほんと、素性が分からない人が多いのが京都です。

とはいえ、新幹線は書斎のようなもの。
昔は新幹線の気圧が嫌いで、PCを開いたり本を読んだりすると頭痛がするのでとても苦手でしたが、徐々に慣れてきました。それに、「移動中に仕事をすれば良いか」と、移動時間も仕事の計算に入れてしまうという悪癖も抜けません。もっと余裕持てば良いのに!!

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今日は全国的に曇り空のところが多いようです。
富士山も見え隠れ。

それでは、皆様よい一日を。

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愛とは、認めるとは

オバマ大統領が広島を訪問したというニュース。

少なくとも僕は各社の報道と、オバマ大統領のスピーチ全文を読んで帰りの電車内で涙を拭ってしまった。戦後71年。未だに戦争は続いているけれど、人類が、少なくとも、ミクロなレベルで身近な人間に対する憎しみではなく、愛情を持って接するということが、今後の人類社会がサステイナブルに持続する唯一の鍵だと思っています。同じ人間としての愛情。コミュニケーションの根底にあるものは、相手を理解し認め、愛情を持って接すること。

否定することは簡単で、とても分かりやすい。

僕はキリスト教徒だけれども、神と悪魔、正義と悪、資本主義と共産主義、キリストとイスラム・・・白黒はっきりできるほど、今の社会は分かり易くはない。むしろ多様化しているからこそ、分かりにくい。分かりにくくていいじゃないか。分かりにくいことがスタンダードだ。グローバルとはそういうものだ。日本人がジンバブエの日々の暮らしを想像できるか? シリコンバレーにいる人間が、フィリピンのスラム街で日々生き死にに直面しながらゴミを拾い集めてい生きながらえている子供たちのことを想像できるか。

僕の祖母は原爆が投下された日、呉の海軍工廠にいた。学徒動員である。

小学生の僕は、祖母に無邪気に、

「原爆みた?」

と聞いた。祖母は「きのこ雲はみえたよ」といい、そこから何も話しをしなかった。余程、悲惨な光景を目にしたんだと思う。広島復興、支援のために駆りだされたのだろうと想像する。そこで見た悲惨な光景は、人として思い出したくなかったんだろう。なぜなのか、どうしてなのか。戦時中、日中戦争に駆りだされた大叔父も同じだった。中国で目にしたことを、何も語ろうとはしなかった。

人間というのは、生存本能を持って生まれて来る。
目の前で悲惨な死を嫌というほど目の当たりにした時、生存するために、ありとあらゆる感情でもって、自分をコントロールし、生きるために色んなことに折り合いをつけ、蓋をするんだろう。それが、生きるということなんだろうと思う。

戦後71年たった今、人口爆発している地域もあれば、日本のようにひたすら人口が減少している地域もある。でも、皆、人間という共通項で繋がっている。認めなくては。愛情を持って接しなくては。

何度もいうが、否定、切り捨ては簡単だ。レッテルを貼ることも、すごく簡単。認めるということ、理解するということは、その何倍も労力が要ることだ。今、その労力が人類社会に求められているんだと思います。しんどいけれど、未来を繋ぐためにがんばらなくてはならないことだと思います。

_89814773__89814446_89814443(出展:www.bbc.com)