国力とは

中国の工場を見学に行くと、若い人ばかりが手を動かして働いているのを目にします。とにかく、若い人が多い。勝手な想像ですが、日本の高度経済成長期に地方から集団就職で都会に出て働いていた親世代がいたという事実をプレイバック映像で目にしますが、今の中国もまさにそれだと感じます。

基板の手実装の風景
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もちろん、一人っ子政策の影響で中国も逆ピラミッド、近い将来、日本と同じような状況になる(あるいはもっと深刻)のは目に見えていますが、今の労働力を支えているのは地方からの出稼ぎの若者たちです。

女の子もいっぱい働く風景
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一概には言えませんが、このような光景は手による労働に支えられた経済であり、今後AIの台頭でガラッと代わる労働の光景の中でも、まだ残された「手による労働」が世界のものづくりを支えているんだなと感じます。しかし、このような経済もいつまで続くか分かりません。でも、とにかく若い労働者が多いというのは、日本のそれとは大きく異ります。

僕は40歳ですが、これからの日本を考えた時に75歳、いや、80歳まで何らかの形で働かなければならない超先進国に生きている自分の覚悟です。

金融経済を理解するためには「マネー・ショート」を見るのが一番ではないかと

帰国中の機内で見た映画の中でダントツで面白かったのが「マネー・ショート 華麗なる大逆転」です。

サブプライムローン問題に端を発するリーマン・ショックに至る2年間を専門的かつシリアスに、そしてコミカルに描いたこの作品、とても面白かったのです。ほんと、久しぶりに面白い映画に出会いました。一応、個人的なオチとしては、ランディングの一時間前から見始めたこと・・・最後まで見ることなく、飛行機を降りなくてはならなかったことが最大のオチであると言っても過言ではありませんが、経済学をかじってなくても、是非、金融経済を理解してほしく、この映画を見ていただきたいと思います。

そんな風に思っていたら、マネー・ショートの解説が様々な経済の専門家からなされていましたのでご紹介します。ちなみにリーマン・ショックの時も、TVや新聞で、CDSやMBSはさんざん解説されていましたね。

映画『マネー・ショート』の感想と作中に出てくる金融用語の解説/リーマンショックの基礎知識

この映画を見ると、いかに金融経済が信用取引(=脆弱な人間の感情と儲け主義)に左右されているか、目先の拝金主義に侵されているかを知ることができます。もちろん、リーマン・ショックで諸々と規制は厳しくなったようですが、資本主義はプラスに働くと経済発展と技術革新を生みますが、既存の経済学のように右肩上がりの成長を前提としているようでは、今後の人口減少とシュリンクには対応することができません。新しい経済理論、カモーン!

(写真はMissionPeak麓の高級住宅街です。記事の内容とは関係ありません)
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企業の膨張に見る、スタートアップスのエグジットに対する力学

サンタクララの Quadcept シリコンバレー支社の通りを挟んで向かい側に、Nvidia の巨大新社屋が建設中なのですが、こちらに来る度にその全容が明らかになって行きます。Nvidiaは今の社屋も立派なのに、更に拡張を続けています。

こちらでは一つの大企業の社屋が大学のキャンパスのように集積している地域があちらこちらにあり、それぞれ、拡張を続けているために近隣の不動産を買い取りまくってビルを建設したり、オフィスを居抜きで使ったりしています。例えば、AppleやGoogle、Oracle、Facebook、そして僕の行動範囲の中では、CiscoやIntelなどは、社屋がどこまで続くの? ってくらいひたすら、通り沿いが同じ会社の建物だったりします。

彼らがなぜここまで大きくなって膨張を続けているのか。もちろんサービスや製品のヒットにもよりますが、ある程度市場に自社の製品が行き渡ると、今度は自社にない技術、これから進出しようとする市場でプレゼンスを持っている企業、同じ市場にいる競合などを次々に買収し始めます。故に、彼らは更に拡大していくのです。CiscoやNvidiaも良い例で、来る度に社屋が増えているのはそういう理由によるものだったりします。クパティーノにあるAppleのドーナツ型宇宙船のような新社屋が建設中ですが、この新社屋には20,000人が集まると言われています。そりゃ、近隣の不動産高騰するわ。

こちらのビジネスパートナーやアントレプレナーと話をしていると、誰々がどこの会社に会社をバイアウトして見事にリタイアを果たしたとか、フリーモントやサラトガに豪邸を建てたとか、今は、どこどこの会社にバイアウトをするために、新しくこういう会社を作っている、とか、そのような話を良く聞きます。

日本との違いは、大手(戦略的売却先)が受け皿としてたくさんあり、そこがやっていないこと、あるいは、その会社が欲しそうな技術を作ってうまく持っていくことができれば、バイアウトの可能性もたくさん出てくるということでしょうね。自分の製品を確実に世界に広めるための方法として、あるいはリタイアメントするための方法として、バイアウトは非常に一般的な方法になっている(もちろん、思い通りに出来るかどうかは別にしてですが)というのが、シリコンバレーの特徴と言えるかもしれませんし、そのような風土が重力となり、世界から人・物・金を引き寄せているのだと思います。

先日、Tie-Conに少し参加させていただきましたが、こちらではインド人が大活躍しています。今や、Google、MS、AdobeのCEOは皆インド人ですし、彼らもしっかりとビジョンを持って勉強し、その技術力を持って就職して今の地位に君臨したんでしょうね。投資のセッションや、カンファレンスは大盛況でした。スタートアップスは資金を集めて加速し、バイアウトに向けて邁進する。ティアワンの企業は、そんな彼らを支援しながら、最終的に多額の金額で買収する。そのような形が成り立っているのだと思います。日本とは金額もスケールも何もかも差がありすぎて、こちらにいると感覚がおかしくなってしまいます。

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本質において一致  行動において自由  すべてにおいて信頼

週の後半は東京で過ごしました。わりとハードだったのと、MacのACアダプタも忘れて来てしまったので、仕事は諦めてビールを飲み、新幹線で爆睡。お陰で体力も回復しました。

木曜の夜はグローバル人事塾主催の勉強会に参加。ラッキーなことに、経営のカリスマ、岩田松雄さんの講演を拝聴することができました。日産自動車から、コンサルティング会社を経て、日本コカコーラ、アトラス、ボディショップ、そして、スターバックスジャパンと、次々と社長やCEOを歴任されて、実績を残された岩田さんの原動力は、「ミッション」。語られる全ての言葉が心に沁みました。

特に印象に残っているのは、個人のミッションは3つの円が重なるかどうかということです。その円とは、

情熱をもって取り組めること (好きなこと) 
その分野で世界一になれること (得意なこと)
経済的原動力になるもの (何か人のためになること)

分かりやすいですね、事あるごとに自問自答したいと思います。

そして、スターバックスの経営理念、「Just Say Yes.」出来ませんとは言いません。マニュアルはあってもルールはこれだけ。オペレーションや接客において徹底しているそうです。それがグローバル1兆円のコーヒーチェーンを築き上げているんですね。

最後に、ピーター・ドラッガーの言葉(経営者に贈る5つの質問)を引用されておられました。

本質において一致
行動において自由
すべてにおいて信頼

有名な言葉だけれど、改めてグッと来る言葉です。
学んだことをしっかり咀嚼し、しっかりと血肉にしたいと思いました。

そして、今日は打ち合わせを何本かこなしてから、TechShopへ。こんなオフィスにしたいなあというお手本のような場所です。

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世界は確実に狭くなっている(というよりは、慣れて来ている)

今日は韓国のビジネスパートナーの皆さんをお迎えしてミーティングとディナー。昨日は米国のビジネスパートナーとご飯、同じ日にシンガポールとカンファレンスコールをし、その前は台湾からパートナーをお迎えしました。

4月と5月はビジネスが動き出す時期なのか、出張も来客も多くなっています。先日の記事にも書きましたが、IT化とグローバル化は密接な関係にあるとはいえ、人の行き来に関してはより活発になっている気がします。間違いなく、人の往来は激しくなっている。

僕も明日から東京、来週も東京、翌週はアメリカです。どうしても行き来できない場合はすぐに「WEBミーティングやる?」という感じでセッティングされます。大きな海外企業はカンファレンスコールシステムが整備されていて、自国の無料専用番号に電話をし、通知された会議番号をピッポッパッと押せば、海外の相手方に即座に繋がるという仕組みになっています。これ、便利ですよね。音質もとてもクリアだし。

ビジネスはコミュニケーションです。その証拠に「hub」や「Lab」や「シェアオフィス」と呼ばれる施設が多くの場所に設置され、人の集いが促進されています。企業内でも同様です。オープンイノベーションは、井戸端会議、フェイストゥフェイスのコミュニケーションに回帰していますよね。

世界は狭くなっているというよりは、みんなが慣れてしまっているように感じます。昔は外国人を見るのも珍しかったのに、今では、ターミナル駅にはたくさんの外国人がいます。飛行機もたくさん飛んでいます。メールだけでなく、WEBを駆使した会議も日常的に、かつ頻繁に行われています。環境順応力って素晴らしく、時に怖いですね。当たり前じゃなかったことが、すぐに当たり前になるんですから。

それにしても、今日は晴天の気持ち良い日でした。

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願わくば心豊かな時代になるように

AI(人口知能)の可能性について、普段自分なりに解釈していることと、勉強会でカッティングエッジな専門家から学ぶことには大きな差異があります。技術的な内容というよりは、未来を予測する力という意味においてです。

GoogleやFBは人の生活に深く根付いています(少なくともゴールデンファイヤーウォールでブロックされる中国と、ネットが繋がらない地域以外は・・・)。Googleは「Don’t be evil」をモットーとし、日々収集し解析している無数のデータを悪用することはないとしてはいても、それらの膨大な情報とユーザのプロファイリングによる機械学習でAIの知能を強化し、FBは日々アップされる膨大な枚数の写真により、今や米軍の画像認識エンジンより優秀なエンジンを保有するに至りました。

Preferred NetworksはDeep Learningの研究分野によりTOYOTAとの共同開発で、分散深層強化学習によるロボット制御をCESでデモし、衝突しない自動運転技術の研究に勤しんでいます。ビッグデータ解析技術とAIの強化学習により、人間の仕事はなくなると言われています。圧倒的な資本力を持つ大企業と資産家は「儲かる分野」に次々とAIとロボティクスを投入して、人の仕事を奪って行きます。機械化はブルーワーカーの職を奪い、AI化はホワイトカラーの職を奪います。残るのは儲からない仕事だけです。エリートはウェアラブルを体内に入れてサイボーグ化し、それらを心よく思わない人は、合理主義と機械化に対するレジスタンスとして、貧しいながらも精神世界に生き、マインドフルネスを強化するるジェダイの道を歩みます。資本主義経済は自然死し、宇宙発電と無線給電によりエネルギー資源は無料化し、ベーシックインカム制度が導入されます。

これらの話は、先日のグローバル人事塾での湯川さんのお話の内容です。しかし、それでもやはり「人の心」を大切にしたいとの思いも強調されていました。先に上げたことは全て現在実際に起きていることですし、更に先端分野の研究もなされています。では、これから「実際には」どうなるのでしょうか。

インターネットが普及した始めた頃、僕もぼんやりと、リモートワークが当たり前になって出張や移動なんてリクリエーション目的だけのためになるのではと思っていました。でも、20年経った今、出張や移動はなくなるどころか、益々増えています。システム化により仕事はもっと楽になると思っていました。でも、人の生活は益々忙しくなり、大量のタスクに追われています。まるで、ミヒャエル・エンデのモモの世界です。

これから、人類は人口減少時代と超高齢化社会を迎えことになります。願わくば、人口減に伴う労働力を機械とAIが担い、災害を予知して人間を守り、人の仕事はもっと正しくて満足を叶える方向に行き、平和で心豊かな社会が生まれることを期待しています。だって、僕、アナログ好きですから。ジェダイになってロボットに怯えながら地下生活を送るレジスタンスも(面白いかもしれないけれど)、日の当たる場所で新鮮な空気を吸いたいですから。笑

でも、このような時代の変化を知っていることは、少なくともマイナスにはなりません。のんべんだらりと生きているよりは、どうすれば良いのか、あるべき姿は何なのか、日々考えるきっかけになります。

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AIによる時代の変革、大資本によるアイデアの囲い込み

非常に忙しい一週間でした。その間に九州で地震が起こりました。被害を受けていない地域の人間は、出来るだけ普段と変わらず自分の仕事をしっかり全うすることで経済を止めないようにしなければなりません。そして金銭物資など出来る支援を行う。断層国家日本ですから、これからもあちこちで大地震が起こるでしょう。その時に支援できるためにも、しっかり働く必要がありますね。日々、しっかり働く。

さて、そういう訳で時間が取れず、ブログの更新もままなりませんでした。その代わり、色んなところでお話をさせていただきました。

まず、グランフロント大阪でのMeetupで、Quadceptを紹介させていただきました。試作支援を行う「Makers Boot Camp」と、台湾の「HWTrek」が主催するイベントです。ものづくりのアイデアフェーズはArduinoやmbedなどのマイコンボード+システム制御環境で行うことができますが、製品化、量産化となれば話を別です。Quadceptの利点をお話しながら、製品化と、ものづくりプラットフォームの説明もさせていただきました。

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そして金曜日は、毎日新聞インテシオでのグローバル人事塾
ITジャーナリスト湯川鶴章さん、dbEの有田さん、電通の志村さんと共に、「AIで変わる未来の働きかた」を軸に、組織として、個人として、迫り来る時代の変化にどのように対応していくべきかをディスカッションさせていただきました。経営層、人事関係者、採用関係者だけでなく、エンジニアや学生さんまで幅広い職種の方が40人以上集まり、その後の懇親会も大盛り上がりでした。普段聞けないような話を聞けてよかった、刺激になったと喜んでお帰りになられました。テーマの内容についてはとても面白いので、明日の記事であらためて。

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そして、昨夜は「メーカーズ飲み会#3」です。ああ、ほんと、この会楽しい、大好き!幹事の上辻さん、いつもありがとうございます。笑) 前回のLTではプロダクトの紹介をさせていただきましたので、今回は何を話そうと考えていたのですが、仕事で良くシリコンバレーを訪れているということもあり、今現地で話題のハードウエアに特化したアクセラレータプログラムの「playground.global」についてお話をさせていただきました。

40人以上の各分野のプロがメンターとして常駐し、Google、HP、Foxconなどの資金による360億円以上のファンドを持つ playground.global ですが、Googleを中心とする大資本の引力が強すぎ、世界から全てのアイデアが吸収されそうな気がして恐ろしいです。彼らは圧倒的な資金とリソースで試作から量産まで全部面倒見れますから。

何か日本でも考えて行かなくてはなりませんね。

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そんな感じのアウトプットウィーク。
今週もタスク山積、木曜と金曜は東京です。

充実の一週間になるように、今週も頑張ります!

反省

また電車飲みやっちゃった。

ではなく。
もう少し出来る、まだまだ出来る、という意味で。一週間が分速で過ぎて行きますが、持ちあわせたキャパが耳かき一杯分程度しかない事に加え、若い頃と比べて低下していく体力を、経験と要領で補えるはずがそうもいかず、積み残しも多く、全てギリギリ。あかんあかん、そうじゃ、そうじゃない。

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最近、登壇の機会が増えてきました。来週は英語一本、日本語ニ本。4月終わりの中国・深センのカンファレンスはさすがにお断りしましたが、ゴールデンウィークの後半連休からはアメリカ出張が決まり、ご招待いただいた「Tie-con」でプレゼンする機会をいただくことができました。ちなみにシリコンバレーの著名アントレプレナーが集まるTieConで登壇できる機会はとても貴重で、本当に感謝です。もちろん、これから準備が大変なんですけれど、一世一代の大舞台(そしてそれまでの山積している仕事達も含め)に向けて、寝ない覚悟で日々を乗り越えて行きたいと思います。

とりあえず、明日のグランフロントと、明後日のハーフマラソンを乗り越えなければ!