[備忘録]攻めの採用とリテンション、アトラクト

人類初のスピードで人口減少、高齢化を続ける日本において、構造的人材不足の戦略的採用はほとんどの企業でテーマになっています。先日、銀座で開催されたグローバル人事塾リクルートワークス研究所・労働政策センター所長の中村さんと、主任研究員田中さんの勉強会に参加した際の備忘録をメモ的に記載しておきます。

・人材確保の3つのキーワード = 辞めさせない、活かす、採る

人材不足は、採用の問題ではなく「採用+活用+離職」の問題。労働市場が構造的に変化しているので、原則にもとづく本質的な打ち手を取る企業が優位。これからのキーワードは働き手のリテンションをどのようにするか。具体的に言うと、リテンション = 個を見たマネジメントに変えていかなければならない。

・採用の鍵は、「賃金と働き方」「対象の拡大」「離職の防止」の三点。

どの部分にフォーカスしてアトラクトするか。
例えば、JPモルガンは「服装自由」を打ち出した。これは「対象の拡大」の部分でアトラクトしている。でも現実は高額なアカウントがたくさん顧客として存在するからスーツを来なければならない。

Netflixは、「エンジニアの年間休暇取得無制限!」とした。極端な話、一年間で一日しか出勤しなくても罰せられることはない。なぜこのようなことが出来るかというと、出勤日数ではなく「成果にコミット」しているからである。逆に言うと成果が出せなければ休みはない。

このような方針がまさに原則に基づく本質的な打ち手を取っている企業の代表と言えるし、このように大企業であれ今を輝くベンチャーであれ、いかにアトラクトするかを考えなければ、人材採用はできないということを意味している。ただ結果を出さなければ企業としての未来はない訳で、対象の拡大によって間口を広げつつ、会社が求める基準を下げずに離職防止をするという点が求められている。

構造的変化に伴う、柔軟性と創意工夫が求められていますね。まさにこれからの社会、経営=人事、人事=経営です。CEO、COO、CFOは一般的になりましたが、これからはCTOに加え、CHRO(最高人事責任者)というポストが重要になってきます。

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人類史上初めて超高齢化社会に生きる者として

Yahoo!ニュースより。

65歳以上人口、4分の1超=全県で15歳未満上回る―15年国勢調査

これが何を意味しているか、他人事ではなく自分事として考えてみる良い機会です。これ、大袈裟でもなんでもなく人類の歴史が始まって以来初めての社会です。前例のない社会、「人類初」の重みです。既存の経済学はおろか、人類学も、下手したら社会学も当てはまらない社会です。

今からたった14年後の2030年には65歳以上が40%になります。リタイアして年金生活・・・なんて夢のまた夢。お金持ち以外優雅に生活できないですよね。年金なんてある訳ないよね。AIとロボットに頑張ってもらうしかないよね。今の社会を維持したいならAIが代理できない儲からない仕事に老若男女関わらず80歳超えて死ぬまで就いて働こうね。こういう社会です。14年後なんて我が子はまだ20代です。うーん厳しい。

ネガティヴに言えば衰退する国家に生きる者として、ポジティブに言えば、シュリンクを前提とした新たな経済を編み出す良い機会になります。さあ、何を考えて今働きましょう?国家としてどんな社会を目指しましょう?

バイツェンを優雅に飲んでる場合じゃないなあ。

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自動運転キットに見るトレンド

iPhoneとPS3のジェイルブレイクを世界で初めて成功させてその名を世界に轟かせ、自動運転カーをわずか一ヶ月で自作して更に世界を驚かせた天才ハッカー、George Hotzが今年末までに1000ドルで自動運転キットを販売する予定・・・とのニュース。わずか1000ドルのキットですよ。実用性、安全性はさておき、ブッたまげてしまいました。記事のソースはこちら。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

Teslaに挑戦する自動運転車ベンチャー、AIが人間の運転を見てドライブ技術を学ぶ (Emerging Technology Review シリコンバレーからの先端技術分析レポート より)

George Hotz’s Comma.ai snags Tesla engineer to work on autonomous car tech (the verge)

よくよく読むと、 “自動運転キットはドライバーの運転をアシストする機能で、Tesla Autopilotと同じコンセプトとなる。Googleのような完全自動運転ではなく、運転の責任は全てドライバーにある。” (Emerging Technology Review より) とのことで、あくまで運転「支援」システムですが、それにしてもすごいですね。

最近オートモーティブ界隈のスタートアップスが群雄割拠しています。例えば最新の車を買うとコストが莫大に掛かりますが、今乗っている車にそういうデバイスをオンボードするだけで、最新のコネクテッドカーのように危険検知したり、コミュニケーションができたり、運転支援ができるようなツールがあれば、みんなもっと喜ぶし広がりますよね。

日本のスタートアップスPyrenee もその一つ。ダッシュボードに乗せるだけで危険検知し事故を未然に防いでくれる支援キットです。最初に目にしたのは昨年の SEMICON Japan の World of IoT でしたが、その同じ週の週末に行われた Gugen2015 にも出品されていて、同じ週に異なるイベントで二度も社長と顔を合わせてお互い「おお!」と驚いたことを覚えています。ちなみに Gugen2015 では優秀賞を受賞されていました。

車そのものも良いですが、こういうキット化することによって誰もが手に届きやすいものを作るというのも社会的な意義があって素敵だと思います。当分オートモーティブからは目が離せません。

(サンフランシスコでの運転風景)
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愛とは、認めるとは

オバマ大統領が広島を訪問したというニュース。

少なくとも僕は各社の報道と、オバマ大統領のスピーチ全文を読んで帰りの電車内で涙を拭ってしまった。戦後71年。未だに戦争は続いているけれど、人類が、少なくとも、ミクロなレベルで身近な人間に対する憎しみではなく、愛情を持って接するということが、今後の人類社会がサステイナブルに持続する唯一の鍵だと思っています。同じ人間としての愛情。コミュニケーションの根底にあるものは、相手を理解し認め、愛情を持って接すること。

否定することは簡単で、とても分かりやすい。

僕はキリスト教徒だけれども、神と悪魔、正義と悪、資本主義と共産主義、キリストとイスラム・・・白黒はっきりできるほど、今の社会は分かり易くはない。むしろ多様化しているからこそ、分かりにくい。分かりにくくていいじゃないか。分かりにくいことがスタンダードだ。グローバルとはそういうものだ。日本人がジンバブエの日々の暮らしを想像できるか? シリコンバレーにいる人間が、フィリピンのスラム街で日々生き死にに直面しながらゴミを拾い集めてい生きながらえている子供たちのことを想像できるか。

僕の祖母は原爆が投下された日、呉の海軍工廠にいた。学徒動員である。

小学生の僕は、祖母に無邪気に、

「原爆みた?」

と聞いた。祖母は「きのこ雲はみえたよ」といい、そこから何も話しをしなかった。余程、悲惨な光景を目にしたんだと思う。広島復興、支援のために駆りだされたのだろうと想像する。そこで見た悲惨な光景は、人として思い出したくなかったんだろう。なぜなのか、どうしてなのか。戦時中、日中戦争に駆りだされた大叔父も同じだった。中国で目にしたことを、何も語ろうとはしなかった。

人間というのは、生存本能を持って生まれて来る。
目の前で悲惨な死を嫌というほど目の当たりにした時、生存するために、ありとあらゆる感情でもって、自分をコントロールし、生きるために色んなことに折り合いをつけ、蓋をするんだろう。それが、生きるということなんだろうと思う。

戦後71年たった今、人口爆発している地域もあれば、日本のようにひたすら人口が減少している地域もある。でも、皆、人間という共通項で繋がっている。認めなくては。愛情を持って接しなくては。

何度もいうが、否定、切り捨ては簡単だ。レッテルを貼ることも、すごく簡単。認めるということ、理解するということは、その何倍も労力が要ることだ。今、その労力が人類社会に求められているんだと思います。しんどいけれど、未来を繋ぐためにがんばらなくてはならないことだと思います。

_89814773__89814446_89814443(出展:www.bbc.com)

10階以下の新築建物にソーラー設置が義務付けられたサンフランシスコ

五月晴れの日が続きます。
年中このような天気だったら良いのにと思う日々ですが、頭のどこかで「とはいうものの、もうすぐしたら、ちゃんと梅雨がやってくるんだとうな」と覚悟はしています。このような気候ならさぞ太陽光発電も順調だろうと思っていると、このような記事が出ていました。

「サンフランシスコ市、米大都市初の「新築にソーラー設置」を義務化」 日経テクノロジーオンライン

世界全体が再生可能エネルギー活用に向かっていますが、義務化とはすごい。記事によるとサンフランシスコ市は「電力消費量の100%を2020年までに再生可能エネルギーで賄う」という目標と立てているそうですが、後4年でそこまで行けば本当に素晴らしいと思います。さらに市が一生懸命取り組むもうひとつの理由は、その立地にあるとも書かれています。サンフランシスコは、周囲を太平洋とサンフランシスコ湾で囲まれているので、地球温暖化によって海面が上昇すれば大きな打撃を受けるという訳です。我が身を守るという意味でも、この取り組みは素晴らしいですね。ベネチアももっとがんばって。

僕が滞在していた2週間前のサンフランシスコ市内は、曇天で多少パラパラと雨模様でした。下の写真がまさにそれですが、サンフランシスコはサンノゼと違って、スカーンと晴れているイメージがありません。曇り空か、霧か。季節によるのでしょうが、ソーラーパネル大丈夫かなと心配になります。もちろん、今のソーラーの発電効率は昔とは比べ物にならないのでしょうけれど。

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金融経済を理解するためには「マネー・ショート」を見るのが一番ではないかと

帰国中の機内で見た映画の中でダントツで面白かったのが「マネー・ショート 華麗なる大逆転」です。

サブプライムローン問題に端を発するリーマン・ショックに至る2年間を専門的かつシリアスに、そしてコミカルに描いたこの作品、とても面白かったのです。ほんと、久しぶりに面白い映画に出会いました。一応、個人的なオチとしては、ランディングの一時間前から見始めたこと・・・最後まで見ることなく、飛行機を降りなくてはならなかったことが最大のオチであると言っても過言ではありませんが、経済学をかじってなくても、是非、金融経済を理解してほしく、この映画を見ていただきたいと思います。

そんな風に思っていたら、マネー・ショートの解説が様々な経済の専門家からなされていましたのでご紹介します。ちなみにリーマン・ショックの時も、TVや新聞で、CDSやMBSはさんざん解説されていましたね。

映画『マネー・ショート』の感想と作中に出てくる金融用語の解説/リーマンショックの基礎知識

この映画を見ると、いかに金融経済が信用取引(=脆弱な人間の感情と儲け主義)に左右されているか、目先の拝金主義に侵されているかを知ることができます。もちろん、リーマン・ショックで諸々と規制は厳しくなったようですが、資本主義はプラスに働くと経済発展と技術革新を生みますが、既存の経済学のように右肩上がりの成長を前提としているようでは、今後の人口減少とシュリンクには対応することができません。新しい経済理論、カモーン!

(写真はMissionPeak麓の高級住宅街です。記事の内容とは関係ありません)
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世界は確実に狭くなっている(というよりは、慣れて来ている)

今日は韓国のビジネスパートナーの皆さんをお迎えしてミーティングとディナー。昨日は米国のビジネスパートナーとご飯、同じ日にシンガポールとカンファレンスコールをし、その前は台湾からパートナーをお迎えしました。

4月と5月はビジネスが動き出す時期なのか、出張も来客も多くなっています。先日の記事にも書きましたが、IT化とグローバル化は密接な関係にあるとはいえ、人の行き来に関してはより活発になっている気がします。間違いなく、人の往来は激しくなっている。

僕も明日から東京、来週も東京、翌週はアメリカです。どうしても行き来できない場合はすぐに「WEBミーティングやる?」という感じでセッティングされます。大きな海外企業はカンファレンスコールシステムが整備されていて、自国の無料専用番号に電話をし、通知された会議番号をピッポッパッと押せば、海外の相手方に即座に繋がるという仕組みになっています。これ、便利ですよね。音質もとてもクリアだし。

ビジネスはコミュニケーションです。その証拠に「hub」や「Lab」や「シェアオフィス」と呼ばれる施設が多くの場所に設置され、人の集いが促進されています。企業内でも同様です。オープンイノベーションは、井戸端会議、フェイストゥフェイスのコミュニケーションに回帰していますよね。

世界は狭くなっているというよりは、みんなが慣れてしまっているように感じます。昔は外国人を見るのも珍しかったのに、今では、ターミナル駅にはたくさんの外国人がいます。飛行機もたくさん飛んでいます。メールだけでなく、WEBを駆使した会議も日常的に、かつ頻繁に行われています。環境順応力って素晴らしく、時に怖いですね。当たり前じゃなかったことが、すぐに当たり前になるんですから。

それにしても、今日は晴天の気持ち良い日でした。

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愛しのHotel del Coronado

FBでシェアされていたのでご紹介。

Hotel del Coronado Sold to Chinese in $6.5B Package(breitbart.com)

サンディエゴのコロナドにある1888年創業の名門ホテル、Hotel del Coronadoを含む16の高級施設が、中国の保険グループ、Anbang Insurance Groupに6.5Bで買収されたとのニュースです。6.5 Billionて!つまり、65億ドル、日本円にして約7800億円ですか。まさに爆買い。

Hotel del Coronadoへは、昨年3月のサンディエゴ出張時に立ち寄り、あの美しさと、歴代大統領やセレブ達の定宿としての風格を肌で感じただけに、中国資本かよ・・・といささかショックを隠せずにいます。いや、中国が良い悪いではなく、こういうホテルは投資対象としてではなく、有形文化財として国やカリフォルニア州が守るべきものなのではないのかなと思うのです。

(昨年訪問時の写真)
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しかし、実際には、バブル期の日本企業がゴッホの絵画やNYのロックフェラーセンター、ペブルビーチリゾートなどを買い漁ったように、景気の良い外国資本に買われながらも、うまく行かなくなったら結局アメリカに買い戻されるという(日本もバブルが弾けて、どんどん手放しましたよね)この投資経済の現実、悲喜こもごもを見ている気がして、まあ、そんなもんだよな不動産なんて、と思ったりします。

その証拠にマンハッタンの老舗高級ホテル「プラザ・ホテル」はインドの投資グループが、名門ウォルドルフ・アストリアは、例の中国Anbang Insurance Groupに19億5千万ドルで買収されたりと、アメリカの高級ホテルは投資対象として大人気。しかし、このような破格の値段で莫大な利益を上げているのは実はアメリカの不動産企業だったりする訳で、「いずれ中国バブルも弾けるから、今のうちに高い値段で買わしておけばいいか、どうせ後で二束三文で買い戻すし。うふふ。」などと思ってたりしそうで怖いですね。うーん。

でも、コロナドは本当に良いところです。

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Eruption と コミュニティ、その先にあるものに対する期待

メーカーズ飲み会関西の第二回目。

こんな楽しい会を企画いただいている主幹のUTさん始め、皆様に本当に感謝しております。本日はLTもさせていただきました。Quadceptが何を目指し、何を成し遂げようとしているかをご理解いただけたかと思います。真面目にふざける、ふざけているけど真面目。これが関西の良いところ。このDNAはしっかり受け継いでいるつもりです。

個人的にではありますが、今日の会が素晴らしかったと思うのは、IT業界と違って横の繋がりがない製造業界において、こんなにも様々なメーカーの皆様が集っておられるところ、そして、利害関係一切なしに、どうにか盛り上げて行こう、何かしらのインベーションを起こしていこう、そういう「想い」が共有できているところです。単なるフラストレーションではなく、そういう想いが熱くなり、イラプションする、それがこういう場から生まれるのだと思っています。

コミニケーションというのは時として軽く見られがちですが、コンセプチャルなことばかり考えている人間としては、やはり「個の想い」の力を信じたい、いや、信じているという一面があります。エンジニアリングと哲学は対局にあるように思いますが、根っこは同じなんです。

問題は、イラプションとコミュニケーションの先に何があるかです。
仮説的には色々とリストアップできますが、もう少し思考を醸成させてからアウトプットしたいと思います。素晴らしい人財が集まる関西、これからポジティブに楽しみです。

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非常識が常識になる時代


Wired.jpにショッキングな見出しの記事がありました。
「自動車メーカーはグーグルの下請けになるや、否や」

この記事は、フォードがGoogleと合弁会社を設立し自律走行車の開発を進める・・・といった至極今ドキの内容ではあるのですが、重要なのはこの見出しです。自動車メーカーが下請けに?そんなこと今まで誰が考えたでしょうか。でも、こういう見出しが出るほど、その可能性もなくはないということです。ひょっとしたら、自動車メーカーがGoogleやAppleの下請けとなりOEM生産する可能性もある訳です。時代は10年、いや、それよりも短いスパンで変化します。TeslaはものすごいスピードでEV電気自動車の大量生産に成功し、創業からわずか10年で今の地位を築きました。

自動運転車や自動車スタートアップス、及び、産業のパラダイムシフトについては、Silicon Valleyでもお世話になっている遠藤さんのブログに詳しいので、そちらを是非参照のこと。

「製造業にとっては千載一遇のチャンスが来ている!ー遠藤吉紀のシリコンバレーでものづくりを考える」

Silicon Valleyには今やTeslaだけでなく、Google、Apple、(Uberも・・・と、遠藤さんのブログには記載されている)といった企業が自動運転車やEVの開発に取り組んでいます。もちろん技術的なハードルはとても高いのですが、天文学的レベルで自己資金を蓄えている彼らは、研究開発費を惜しげもなく注ぎ込むことができるわけですし、世界的な有名なHackerがわずか一ヶ月で自動運転車の開発に成功したとの記事も出たように、とんでもない天才も存在します。旧態依然とした産業の中で「これが当たり前」と思っていると、3年、5年後には時代は変わっていた・・・ということになるかしれません。もちろん、日本も自動車メーカーはじめ、製造業は常にイノベーションを求めて日々奮闘していると信じています。

師走で目の前の仕事に追われつつも、常に目線を高い位置に持ちつつ、時代の変化のスピードをキャッチし続けていかなければ・・・と実感しています。

写真は記事とは関係ありませんが、 356 speedstar.
車は変われど、美しいものは変わりません。笑

356speedster(出典:http://www.300ahora.pt/uma-breve-historia-do-mitico-356-da-porsche/)