自分と向き合い、心を平静に保つため、朝のグリーン・エクササイズを日課にしています。グリーン・エクササイズとは自然の中で体を動かすことを指すそうですが、僕の場合は毎朝、近所の植物園から繋がるトレイルを5km〜10kmほど歩いています。
その中で心掛けていることは二つ。
一つ目は、すれ違う人とは必ず挨拶をすること。
朝って良いですよね、こちらから「おはようございます!」と声を掛けると、必ず「おはようございます」と返していただけます。朝から声を出して挨拶するのって気持ちの良いものです。
二つ目は、森の中を歩き、深呼吸をすること。
特に池や川の前で、吐く方を意識しながら深呼吸をすると、気持ちが落ち着き、悩みやストレスがすべて吐き出され、浄化されていくように感じます。人は水場にいくことで癒やされるという研究結果が出ているそうですが、作家の村上春樹さんも、著書「ラオスにいったい何があるというのですか」の中でこう書いています。(ちなみに僕はこの一文が大好きです)
「僕は思うのだけれど、たくさんの水を日常的に目にするというのは、人間にとってあるいは大事な意味を持つ行為なのではないだろうか。まあ「人間にとって」というのはいささかオーヴァーかもしれないが、でも少なくとも僕にとってはかなり大事なことであるような気がする。僕はしばらくのあいだ水を見ないでいると、自分が何かをちょっとずつ失い続けているような気持ちになってくる。」
山の手に引っ越してから、以前のように川や海沿いをジョギングする機会は減りましたが、森の中で鳥のさえずりを聞きながらマインドフルネスのようなことをすることは、自分自身をまた違う次元にアップデートさせていくために必要だと考えています。会社勤めをしていた時と違い、時間を自由に使うことができるようになったので、朝の時間をたっぷり、ゆっくり、グリーン・エクササイズに充てることができています。
人は周りの環境(職場や、付き合う人など)の影響を大きく受けやすい生き物ですので、環境はその人を成長させる、あるいは退化させる重要なファクターにはなり得ますが、それよりも自分自身と向き合い、物の見方を良い方向に調整し続けること、考え方をポジティブな方向に向けることで、明らかにその人のパフォーマンスは変わります。そのためには、しっかり自然の中で時間を取り、自分と向き合うことが大切です。
その結果、最近、自分でも「強くなったなあ」と思うことが多くなりました。少々のことでは動じない。気持ちに余裕が出てきて、いつもニコニコできるようになりました。ビジネススキルに関しては、以前よりも鋭い判断ができるようになり、概念の構造化スピードも速くなったように思います。
そうなると不思議なもので、仕事もプライベートもますます順調になり、仕事の依頼や面談の依頼、食事のお誘い、ゴルフのお誘い(笑)が、新しい関係の方々から毎日のように来るようになりました。笑う門には福来る、ということでしょうかね。
何事も自分次第でどうにでもなる。
グリーン・エクササイズはそのことを教えてくれています。
「学び」カテゴリーアーカイブ
若者世代から学ぶことは多い
今週は東京出張ウィークでした。
コロナ以降、オンラインミーティングが日常の中ですっかり主役になったため、出張中であったとしても、ホテルの部屋であれ、移動中であれ、合間合間に自然とオンラインミーティングを行っています。
最近、はじめましての方からミーティングオファーをいただくことが多く、この出張期間中にも24歳でPR会社を起業した若者からミーティングの申し出がありました。僕は時間が許すなら、できるだけ依頼はお受けするようにしているのですが、その理由としては、様々な企業さんとお仕事をしているとはいえ、一人会社ですのでやはり情報や考え方が偏ってしまうことも多く、バランスを保つためにも色んなジャンルの話が聞きたいという思いがあるからです。
さて期待通り、彼らのPR手法というのはTik Tokの活用や、プライベート・ビジコン・イベントの主催など、自分たちのレガシーな業界ではまず考えられないようなものばかり。でも今の時代はこれが当たり前なんですよね。他にも色々とありましたが、昭和(平成?)の頭でいくら頭を捻っても出てこないようなアプローチの仕方と、その効果に、とても刺激を受けました。
自分が社会に出てからもう二十数年が経過しています。新卒22歳と定年65歳のちょうど中間くらい(やや定年寄りですが・・・)の年齢に位置づけている自分として、昭和の高度経済成長期やバブルを駆け抜けてきた世代の話も分かるし、デジタルネイティブ世代の話も分かる、いい意味で良いとこ取り世代だとは思ってはいるものの、どこかで拘りが強くなって来ている自分もいるし、良い意味でも悪い意味でも、今の時代に絶望と諦めを深く感じているところもあるので、年齢関係なく、様々なジャンルの人の話を聞いて学ぶということの重要性を今さらながら実感しています。気づきもたくさんありますしね。
「我以外皆我師」という言葉にあるとおり、自分以外はみんな先生。
そう考えると本当に新鮮だし、その中でも特に、若者から学ぶことはとても多いですよね。
口角を上げて笑顔でいることって想像以上の良い効果がありますよね
普段、小難しいことばかり考えていることが多く、知らずしらずの内に険しい顔つきになっているなあと、ふと気づきました。
確かに生きていると良いことばかり起こる訳でもなく、たまにガッカリすることもあるのですけどね、世の中全然捨てたもんじゃなく、毎日の生活の中で笑顔になるようなことがたくさんあります。
例えば、仕事部屋からは緑がたくさん見えるし、毎朝、近所の植物園までジョギングして、マイナスイオンたっぷりの新鮮な空気の中で深呼吸する。これって本当に今自分が手にしている生活の中の素晴らしい一面です。それに、眉間にシワを寄せて考えている小難しいことだって、結局は社会を良くすることであったり、対象となる会社を成長させることだったり、人を笑顔にすることだったり、ビジネスであろうが、ボランティアであろうが関係なく、楽しいことばかりです。そう考えるとPCに向かっている時も、MTGの時も自然に笑顔になれることに気づきました。テンションが低い時は、無理やりにでも口角を上げると自然に笑顔になるんです。
で、なんでこういうことをわざわざ書いているかというと、元々、自分がかなりのネガティブ思考でして。しかもタチの悪いことに、ロジカルなネガティブ思考なんです。どういうことかというと、ダメだと思うことは、ダメな理由をロジカルに考えて、ダメなエビデンスを参考文献と共にレポートにまとめて提出してしまうくらいのロジカル・ネガティブシンキングな持ち主なのです。
でもね、過去の経験から理解しているのですけれど、これって何もプラスのものを生み出さないのですよ。何も良いものを生み出さないのであれば、最初っから陽転思考でニコニコしながら、どうにかなるさーって考えてる方がよっぽど良い。怒りや失意からは何も生まれないのと同じですよね。最初っからニコニコしてるといいよね。
それとね、自分のことばかり考えていると笑顔になれないです。人って、自分のためではなく、他人のために動く時に幸福を感じるのだと思います。
というわけで、最近は、ねじり鉢巻を頭にまき、一升瓶抱えて「かまへん、かまへん、ガッハッハッハー!!!」というオッサンを頭の中でイメージしながら、常に笑ってる自分でいるようにしています。
極端か。笑
最後に、近所の北山植物園のバラをおすそ分け。百花繚乱、咲き乱れていますよ。平日の早朝の植物園は人もほとんどいなくて、貸し切り状態。ゲートが開いている時はいろんな植物や花を見ながら歩いています。
口角を上げる練習。
「それそのものにどんな意味があるのか」を考え、あるべき姿を常に想像しながら歩んでいきたい。ブログ開設18周年のご挨拶
雨が上がって、青空が広がる。
毎朝、庭の水やりを日課にしていると、天気の変化に敏感になります。朝起きて今日は晴れてるかな、曇っているかなと空を見上げ、庭の土の乾き具合を見る。近所の植物園までジョギングをして、森の中で肺いっぱいに新鮮な空気を吸い込んで、ゆっくり時間を掛けて息をはく。サウナはあまり得意ではありませんが、この森林浴も一つの「ととのう」ということなのでしょうか。
6月は、このブログをスタートした月になります。
2005年の6月にブログを書き始めて丸17年が経過し、18年目に入ります。当時はスマートフォンもなく、その間、コミュニケーションの手段やインターネットで使用される技術もどんどん変化して行きましたが、自分はこのようにネット世界の辺境で、ひっそりと、こつこつと、テキストを打ち続けることによって「思考をととのえる」ことを習慣にしてきました。書き始めた頃は30歳になる手前で、もちろん書いていることも今とは違うし、仕事に対する思いもテクノロジーに対する考え方も今とは異なっていたように思います。17年という月日は人を変化させます。願わくば「成熟」という方の変化が良いのですけれど。
最近、自分が関わっているプロジェクトや製品について、なんでもかんでも新しい技術やトレンドを導入することを最優先にすることはやめ、とにかく「理念と哲学」にこだわるようになってきました。
参画しているメタバース・プロジェクトでは、目に見える社会の課題をどのように解決できるか、それによって人が幸せに生きていくためにはどうすれば良いかを考えています。具体的には、地域ごとの自立分散型経済と互助共助社会の実現です。インターネットが出現してから30年、2019年ノーベル経済学賞のバナジーとデュフロがいうように「先進国に関する限り、インターネットの出現によって新たな成長が始まったという証拠はいっさい存在しない」という事実と、少なくとも30年間経済成長のない(=物質的に豊かになっていない)この国において、じゃあ、自分たちはどのような未来を作っていけるのか、そこはグローバルとは真反対のレイヤーを構築していくことではないかと考えるのです。
企業を成長させることや売上を上げることはとても大切です。でもね、最近、世の中の潮流が少しづつ変化しているように感じませんか?
「グーグルがこんなことをやっている」とか「イーロン・マスクがこんなことをやっている」とか「シリコンバレーではどうのこうの」(自分もSVで仕事をしていたのでこの地の魅力は良く知っているのですが)というキーワードに飛びつく人がものすごい勢いで減っているような気がするのです。むしろ、彼らがやっていることはより良い社会の実現というよりは富と情報の一極集中であるよね、と。富も体力も時間も搾取されることに疲弊してきた自分たちは、分断を作る世の中ではなく、お互い助け合いながら貨幣経済に依存しない社会で生活する方が幸せなのではないだろうか。
小よりも大、遅よりも速、狭よりも広、停滞よりも成長、が良しとされ、自分もビジネス一辺倒で今まで走り続けてきましたが、そろそろ舵を切り替えるタイミングに差し掛かっています。成長第一の旧態依然とした考え方には年々不感症になってくると同時に、周りにそのようなギラギラした人も自然といなくなり、淘汰され、周りには価値観を共有できる本質志向の人たちだけのコミュニティが残り、心地良さの中にも課題意識があるという不思議な感覚です。
テクノロジードリブンで新しいものを次々に構築していくことは否定しませんが、ソフトにしてもハードウエアにしても、あるいは会社経営にしても「それそのものにどんな意味があるのか」を徹底的に考え、あるべき姿を常に想像しながら意思決定をしていきたいと思っています。
さて、毎年、ブログの周年を迎えるに際し「僕はここでなにかしらをずっと書いています」と決意表明をしているのですが、今までなんとかその言葉どおりに続けてくることができました。そして、これからも僕はここでなにかを書き続けるでしょう。
いつも独り言に付き合ってくださる皆さまへ感謝の気持ちをこめて。
18年目もどうぞよろしくお願いいたします。
日本にはまだまだ素晴らしい会社がたくさんある
少しブログの更新が空いてしまいました。
ゴールデンウィークと聞くともう遠の昔のように感じますが、連休明けは、ゴルフ、東京出張、皇居ラン、六甲山トレラン、自宅オフィス作り、パーティー、飲み会、とあっという間に一週間以上が過ぎてしまいました。知力と体力と胃袋と肝臓を全力で使ってしまったということもあり、少々体力の回復に時間が掛かってしまいました。
以前までは一日24時間の中で「出来ること」がたくさんあって予定を詰め込むことを良しとしていたのですが、時間と場所の拘束から解放された今の生活では、一日の時間を自分のペースで刻むということを実験的に行っており、体調が優れない時は寝る、元気な時は動く、といった、非常に分かりやすい生活をしています。
それが良いか悪いかは別にして、得たものとしては、体調の変化に敏感になったこと、静かな環境にいるので感覚が研ぎ澄まされること(ほぼ森の中のような環境で仕事しています)、その一方で物の見方が自分よりに偏ってしまうようなこともあり、こりゃいかんと元に戻す作業をしたり、まあ、色々と試行錯誤です。
それにしても、日本にはまだまだ優秀な会社がたくさんあるものです。
日々、技術系の色々な会社をご紹介いただいてお会いしているのですが、上場企業からベンチャーまで、素晴らしいな〜と思う会社ばかりでアドバイザーとして紹介していただいている自分が学ばされることばかりです。
「素晴らしい会社」ってどんな会社なんでしょうね。僕が思うに、分かりやすくまとめるとこんな感じかなと思います。
・保有している要素技術やサービスが他社と明確に差別化できている
・経営理念と目標が明確で、社員全員およびステークホルダー全体に浸透している
・経営者、社員、株主の距離が近く、皆で一つの方向を見ている
まず、上記の一番目の要素(=エンジン)があって、その上でコンセプト(=ハンドル)とコミュニケーション(=タイヤ)があるようなイメージでしょうか。もちろんガソリン(=燃料)は資金ですよね。これらが揃って初めて会社は成長するのだと思います。
このような会社は多少荒削りであったとしても、とりあえずは走ります。人事や評価、経営管理部門等の荒削りな部分(=内装等)は、走りながら調整して行けば良い。最終的に乗り心地の良いクルマにしていけば良いのです。
頭を使うシーンが多い今日この頃ですが、少しでも自分の持っている力でポテンシャルの高い会社をもう一段上に押し上げるお手伝い、お仕事をして行きたいと思っています。
ほんと、まだまだ素晴らしい会社がたくさんあるんですよ。
正しい音を出すために調律が必要なのは楽器だけではなく、人間もなんですよね
GWも終わりに近づいてきました。
皆さんはどのように過ごされましたか?
この連休中、いろんな所を旅行し、たくさんの人と会い、美味しいものをいただきました。天気に恵まれたこの土日は二日連続ゴルフでしたが、それまではラウンドもなく、バラエティに富んでいるという意味ではバランスの取れた休暇だったように感じます。
このような長期休暇は、心身を休め、自分自身を調律するための時間として使うようにしています。実は僕、この「調律」という言葉が好きなんです。
ウィキペディアでは「調律(ちょうりつ)とは、楽器の音高を、演奏に先立って適切な状態に調整すること」と説明されています。正しい音を出すために調律が必要なのは楽器だけではなく、人間も同じだと思っています。自分にとってどの状態が「正しいか」は人それぞれあるとして、普段の生活の中で、知らずしらずの内に考え方が歪んだ方向に向かっていたり、忙しさの中で余裕を持てなくなったり、疲れて目先のことだけしか見えなくなったり。無意識の内に自分が出す音色が乱れてしまっていることがあります。
ではその乱れを直して調律してくれるのは何なのか。これも人それぞれだと思いますが、僕の場合は自然と触れ合うこと、人に会うこと(特に自分のことを良く知ってくれている人)、そして、本を読むこと。自然、人、本、この三つを大切にしています。
自然からは生きている環境と、人の本来あるべき姿を知り、人と会うことによって自分が発する言葉から今の自分が何を考えているかを再帰的に知りつつ、相手からも多方面でアドバイスをいただいたり、ツッコミをもらったりする。小説や学術書などジャンルは様々ですが、本からは客観的なインプットをする。我以外皆我師。知ること、学ぶことは、欠かせません。このようにして調律が完了すると、仕事でもプライベートでもまた良いパフォーマンスが出せる気がしますし、少なくとも、このGWは最高の調律ができたと思います。
また明日から新たな週がスタートします。
来週は火曜日から木曜日まで東京出張もあり、仕事の予定も目白押し。たくさんの方とお会いできるのが楽しみです。肩の力を抜きつつも一つひとつ丁寧に向き合い、ニコニコしながらも一日一日を丁寧に過ごして行きたいと思っています。
【ワーケーション中に考えること】テクノロジーのイノベーションだけで経済成長はしないという事実と、その先にあるものとは
愛媛県でワーケーション。
今日は快晴。外を歩いていると汗ばむほどです。
仕事しながら旅をする、あるいは、旅をしながら仕事するというのを、今年は少しづつやって行きたいと思っています。時間が許す限りですが。自分のようにPCとネットとスマートフォンがあればどこでも仕事ができる人間は、インターネットの発達における恩恵をまさしく享受しているのですが、一方、インターネットをはじめとするテクノロジーの進歩は本当に世の中を良くしたのか、という点も考えなければなりません。
こうして地方の城下町を歩いていると、地産地消に代表されるようにそれぞれの地域の小さな経済圏でモノのやり取りを完結する方が、結果的に豊かな社会を実現できるのではないか、と考えざるを得ません。仮にスタバやアップルストアやヴィトンがなくても(この街には全部ありますが)生活するのに困らないじゃないか。
コロナにしても、ウクライナ問題にしても、米国金利引き上げによる円安加速にしても、グローバル化によって社会が複雑に絡み合っているがゆえに関係のない地域まで巻き添えを食らってしまう。こんなことってロクなことないよな、と思っていたので、余計にそう思うのかもしれません。グローバル化がもたらしたあらゆる問題を解決する方法は、地域分散型(自律分散型)経済しかないよな〜ということです。
すいません、インターネットの発達から少し横道に逸れてしまいましたね。
関連することですが、先日、山口周さんがTwitterでこのように言っておられました。
メタバースの議論の前に、そろそろ「インターネットの中間総括」を一度やってみる時期に来てると思います。世界にとって、ぶっちゃけ、正味ではプラスとマイナスのどちらが大きいのか?ノーベル経済学賞を取ったバナジーとデュフロは少なくとも経済成長には全く貢献してない、と言ってますね。
— 山口周 (@shu_yamaguchi) April 25, 2022
ここで引用されている、2019年ノーベル経済学賞受賞の経済学者のアビジット・V・バナジーとエステル・デュフロは、「絶望を希望に変える経済学」の中で、このように述べています。
フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグはインターネットの接続性が計り知れないプラス効果をもたらすと信じているが、そうした信念を共有する人は大勢いるらしく、多くの報告書や論文にそれが反映されている。たとえばアフリカなど新興国に特化した戦略コンサルティング会社ダルバーグが発表した報告書には「インターネットが持つ疑う余地なく膨大な力がアフリカの経済成長と社会変革に寄与することはまちがいない」と書かれている。
絶望を希望に変える経済学
この事実はほとんど自明なので、あれこれ証拠を挙げて読者を煩わせるまでもないと考えたのだろうか、何のデータも引用されていない。これは賢い判断だったと言うべきだろう。そんなデータは存在しないからだ。先進国に関する限り、インターネットの出現によって新たな成長が始まったという証拠はいっさい存在しない。
インターネットは経済成長に寄与していない。
僕のような一般人でさえ、この言葉はとても良く理解できます。
日本の高度経済成長期には、インターネットもPCもスマホもなく、紙の書類と電卓と電話、テレックスで鉛筆なめなめ仕事をしていたにも関わらず、10%以上の経済成長をしていた時代がありました。物を作れば作るだけ売れた時代です。その後、テクノロジーが進化し、インターネットが普及して「便利な時代」になったこの30年間はどうでしょう。
経済成長率は0なのです。便利になったら生産性が上がって、仕事の速度が上がり、効率よく仕事ができるから豊かな社会になるんじゃないの?と思いますよね。でも、今起こっていることは、逆です。物が行き渡った時代には、物を作っても売れないのです。
下の図は、厚生労働省調査の1990年から2019年までの月収の推移です。
月収は1997年頃から最低値の2013年頃まで約15年間で15%も減少しています。バブル後の不景気、高齢化に伴う社会保険、厚生年金の増大もあり、可処分所得は年々減っています。では、給料は減ったとして、余暇の時間は増えたか?それが、そうでもない。生じた余白は別の仕事で埋められr、人々の生活はどんどん忙しく、どんどん貧しくなっているという事実があります。
ちなみにAIの発達ついても同様で、経済学者の井上智洋先生は、このように書いておられます。
人工知能(AI)は、経済にほとんど影響を与えていない。それが証拠に、日本全体でAIが生産性を向上させているとか経済成長率を引き上げているといったデータは一切ない。
スマートXのプラットフォームを握った企業が次代の覇者となる
このような事実から、昨今叫ばれているDXなどのキーワードも、経済成長には一切貢献しないということができます。モノが行き渡った世の中に、無理やりモノを売るべく、新しい概念を提示して利益確保、雇用創出のため「なくても良いものを無理やり売る」にしか過ぎず、これから先も新しいキーワードが生まれては消え、ということを繰り返し、労働者が疲弊しながら、良くてゼロ、実質マイナス成長をしていく日本の姿を容易に想像することができます。少し乱暴な意見かもしれません。でも、大きく間違っているとも思いません。
インターネットが世界中に行き渡り、グローバル化が促進され、世界が複雑に絡み合う時代においてもたらされたものは、GAFAMを代表とする巨大企業による情報の集権と一部の巨大企業または資本家だけがひたすら儲かるという格差社会です。日本の大企業ですら、GAFAMを前にして下請けにならざるをえなくなりました。日本だけでなく、すべての国は米国や中国に利益を吸い上げられているという構造です。
では、そこから抜け出すためにはどうすれば良いか。
自律分散型の経済圏を確立し、グローバル社会とは一線を画すことは一つの解かもしれません。小さな地域(またはコミュニティ)で、物々交換をしながら、皆で仲良く暮らす。地域通貨があれば、為替の影響を受けずに済む。環境も無茶に破壊しない。安全保障の問題は残りますが、それはまた別の議論が必要でしょう。一例として、どの国もお互い一切干渉しない(全国家、総鎖国状態w)というレギュレーションを作れば安全保障の問題もクリアになるかもしれない。そのようなエコシステムが現実社会で難しければ、メタバース上の世界で新しい経済圏を作る。
先日、大学教授とデジタルアーティストの方と僕の三人で、同じような話題で二時間ほど話していました。自分の場合は数年前から「集団ではなく個としてどうあるか」を働きかたの視点から、自分の身を自分で守ることの重要性を発信してきましたが、そもそもいくら頑張っても、貨幣経済の下で生活することに変わりなく、お金を稼いでも、お金に支配される状態に変わりはないかもしれない。であれば、稼ぐのではなく、価値交換に主軸を置き、貯めるのではなく、回すという循環型モデルの方が良いかもしれない。そう思うようになってきました。
いずれにしても、場所を変えて仕事をすると、新たな気づきを得ることができますね。
今日の記事ではとりとめのない話をつらつらと書いてしまい、だから言いたいことは?と聞かれると答えに窮すのですが、今後、この自律分散というテーマをもう少し地域経済に絞って考えてみたいと思います。
独立して一ヶ月を振り返って〜ストレスフリーゆえの悩みと、これから独立を目指す人への参考情報
独立してからあっという間に一ヶ月が経過しました。
当初は、しばらくゆっくりしようかな、じっくり腰を据えてビジネスプランを練ろうかなと考えていたのですが、ありがたいことにお仕事の相談と依頼をたくさんいただき、忙しい日々を過ごさせていただいています。
独立してから手に入ったものはというと、場所からの解放(通勤しなくて良い)、時間(ミーティング以外は自分の好きな時間に仕事ができる)、お金(前職時代と比べて1.4倍増し)、そして、ストレスからの解放です。
今後独立を目指す方の参考になるかもしれないので、お金については後ほど詳述しますが、先に記載したストレスからの解放については、実はデメリットも感じています。
ストレスフリーだけど、ストレスがないゆえの悩み。会社勤めをしている時は良くも悪くも相手と意見が合わないこともありましたし、なんでこんなことが起きるの?というような予期しないことも多発しましたし、思い通りに行かないこともありました。肩の力を抜き、頭痛を和らげるために、駅でハイボール缶を買って、電車の最後尾で飲みながら帰ってましたっけ。自分の力不足と不可抗力の両方が相まって、日々ストレスを感じていましたが、逆にいうと、緊張感を持って仕事ができていたということもあり、振り返れば問題処理能力やストレス耐性が大きく向上したと思っています。
ところが、独立すると意外なほどストレスがないのです。
元々ストレスから解放されたくて(自分の理想どおりの経営がしたい、しがらみなく色んな会社のお役に立ちたい、と思って)独立したのですが、「仮想敵」がいない状態って緊張が緩和されて平和な日々を送れる反面、刺激がない。だからこそ、日々向上心を持って何かに取り組み、自分を意識的にアップデートさせる必要がある。そうしなければ関わらせていただいている会社(顧客)のお役に立てないし、自分で自分の成長が実感できないことが逆にストレスになるのです。
贅沢な悩みかもしれません。でも、環境が自分を成長させてくれないからこそ、自分で自分に発破をかけなければならない。そういう訳で、今までに以上に積極的に業界の情報収集、技術に関する学び、リアルな場での情報交換、興味関心を持った分野の調査を進めています。週に5日働くとして、最低1日は「アップデートの時間」と「お金にはならないけど社会課題に必要なプロジェクト」に費やすことにしています。まだ実験段階ですが、恐らくこのような時間配分でやって行けそうな気がしています。
さて、仕事と収入に関して。
まだ独立一ヶ月ですので、これからスタートするプロジェクトも、水面下で交渉中の案件もありますが、今は複数企業の顧問やアドバイザー、社外取締役としてお仕事をさせていただいています。独立した一つの目的である「スキルシェアリング」を小規模ながら実現できている状態です。これからお話をお伺いする会社も三社ほどあります。自分のスキルでお役に立てることができれば、こんな嬉しいことはありません。様々な会社の事業についてお聞きできるのは学びと同時に刺激にもなります。とはいえ一人で動いている身ですので、どこかで受け入れに限界が来ると思っています。
独立してそんなにすぐ上手く行くはずはないだろう、当初は一年くらい掛けてじっくりコンサル先を探して、増やしていこう、そう思っていたのですが、ありがたいことに目の前に受け入れリミットが迫りつつあります。そして収入面に関していうと、一箇所からではなく、複数社から報酬をいただくような形になりますので、現時点で前職時代の1.4倍増し(正直ベースです)になっています。これから2倍、3倍を目指そうかというとそうでもなく、お金よりもむしろ関わらせていただいている会社とじっくり向き合い、共に成長したいので、時間確保を優先したいと考えています。その結果、2倍、あるいはそれ以上になれば嬉しいですよね。
独立した後、お金の話をされない方がほとんどですが、これから独立しようと思っている人の一番の関心事は「食えるか食えないか」でしょう。つまり、収入がどれだけ増えるか(あるいは減るか)がとても大きなテーマのはずです。僕の場合は、まだ独立したてで今後どうなるかは分かりませんが、今のところスムーズにオンボーディングできたケースかもしれません。将来的に独立を考えておられる方の参考になればと思い、以下に自分なりのアドバイスを記したいと思います。
・副業が許されている会社にお勤めの方は、是非、副業をしてください
今から時間の使い方や、本業の給料以外で稼ぐとはどういうことかを学べるからです。自分に対する市場の評価も知ることができます。できれば、時間の切り売りではなく、スキルを活かせる副業をしてください。
副業が許可されていない会社にお勤めの方は、社外人脈を作ってください。リカレント教育の場、社会人向けの講座やセミナー、良質の交流会に参加するなど、社外の人と出会える場はいくらでもあります。人脈の多さが独立後の仕事の数に比例しますし、今の勤め先の事業にも貢献できるかもしれません。
・自分のスキルの棚卸しをし、明確に説明できるようにしてください
世の中には競合がたくさんいます。なぜ自分なのか、自分と他の人との違いは何なのか。自分はどんなスキルを持ち、どのように貢献できるのか。これらを是非、分かりやすく、かつ、誰もが納得するくらい明確に説明できるようにしてください。己を知ることが第一歩だと思います。自分で分からなければ、友人たちに聞いてみるのも良いでしょう。もし自分に足りないものがあれば、会社で働いている間に身につけるべきです。
また、常日頃からSNSなどで自分の考えや仕事について情報発信するのも良いと思います。誰かがどこかで見てくれているものです。
・周りの人に親切に接し、信頼される人になってください
受けるのではなく、与える。困っている人がいれば、手を差し伸べる。自分に厳しく、人には親切にする。何か役に立てることはないか常に周りを観察し、考える習慣を付けることで、信頼される人になれると思っています。自分はまだまだ発展途上ですが、周りにいる成功している人たちを見ていると、ギブファースト、ギブ&ギブの精神で動いている人がほとんどですし、心身ともに充実した幸せな生活をしておられます。
というわけで、この一ヶ月を振り返ってみて感じたことをまとめてみました。ここまで長い文章を読んでいただき、ありがとうございます。
上記以外にファイナンスの知識も必須条件ですが、それついてはまた機会があれば書いてみたいと思います。
それでは、みなさま良い週末をお過ごしください。
課題を解決するピースとして、ぴったりとフィットする人材になるために
今朝の東京は少し薄曇り。
今までが快晴続き、日中は暑いくらいの晴天でしたので多少の崩れは仕方ありません。
先週の土曜日にブログを投稿してから日にちが経過してしまいましたが、こちらでは予定どおりに朝昼晩、様々な方とお会いして仕事をし、ミーティングをし、ランチをし、飲み会に参加し・・・と、とても忙しく動いています。
独立起業してまだ一ヶ月も経っていませんが、個人の事業開発コンサルタントとして、多くの会社からお声掛けをいただき、日々課題をお聞きしています。「まず来てくれ、話を聞いてくれ」と言われることがどれだけ嬉しいことか。個人で動いていると特に、必要とされていることのありがたさが身に染みます。
話のテーマは様々で、もちろん詳しく書くことはできませんが、業界全体が抱える課題や、行政が絡むまちづくりと言った大きな視点から、企業が抱える個別の課題(たとえば、人の採用、チームづくり、システム開発、新規事業開発)や品質管理、工程管理といった分野まで、多岐に渡ります。
いずれの場合も言えることは、中にいる時間が長いため現実的な視点でモノを考える癖がついてしまい(それはそれで悪いことではありません)、視野が狭くなり、全体を俯瞰できないこと。ブレイクスルーのポイントは、少し引いたところから全体を見ることで見つかったりするものです。一方で、客観的視点で自社のビジネスや製品を見て、是々非々でボトルネックを抽出して課題意識を持っておられる方ももちろんいらっしゃいます。
自分の仕事は、それらの多岐にわたる課題を解決するためのピースとして、必要なところにぴったりフィットし、一緒に汗を流すこと。今回も様々な業界、企業の皆さまから宿題をいただきました。中には壮大なテーマで、根が深く、自分だけではどうにもならないこともあります。仲間たちと協働しつつ、今までの知識と経験をベースに、自らも視座を上げて取り組んでいきたいと思います。
ここからは、ここ数日の出来事を一部、ご紹介したいと思います。
銀座での天香回味鍋
日曜日の夜、銀座でおすすめのお店があるということで大学関係者数名の仲間たちと集いました。きのこたっぷり、薬膳鍋です。もう見た目から身体に良さそうでしょう?
体内の毒素がデドックスされる感じ、食べながら爽快でした。もちろん、皆さんとのトークからも刺激をたくさん受けました。何歳になってもチャレンジする姿勢、自分も見習わねば・・・ご同伴の皆さま、素敵な時間をありがとうございました。
新百合ヶ丘でのランチミーティング
こちらご招待いただきましたランチミーティングでは、イタリアンのコースをご馳走になりました。技術話に花を咲かせながらのお料理、一品一品素晴らしかったです。小さなお店で、シェフとマダムがお客様と対話しながら、丁寧に、心を込めて作っておられる姿に、仕事の原点を見た気がします。仕事とは、お客様を満足させ、喜ばせること。それによって、自分も幸せになる。そういうことなんだ。
お誘いいただきました社長、大変ご馳走さまでした。
合間を見て、軽くランニングもしています。
半蔵門の定宿ですから、皇居も走りました。ウルトラマラソン前なので、軽めに調整。
池袋でグローバル人事塾も開催。
162回目の今回は【ワカモノのトリセツ ~Z世代にスイッチが入る3つの対話術~】がテーマ。自分が中年になって思うことは、ワカモノから積極的に学ぶ姿勢が益々必要だということ。固定観念に捕らわれず、柔軟な姿勢で自らも変化していく。
この気持ちが保守的にならず、新しいことにチャレンジする原動力になるのではと実感です。
ご参加者皆さまとの懇親も大変楽しいものでした。
講師の皆さま、参加者の皆さま、会場提供のリングロー株式会社の皆さま、ありがとうございました!
他にも書きたいことが山ほどありますが、追って小分けにしていきたいと思います。
それでは、今日も素敵な一日をお過ごしください。
最近の出来事:街角イタリアンとGive&Giveと夜桜
いつの間にやら4月です。
先週末は本当に寒くて、どうしようかと思ったくらいでしたが、そのおかげもあってか、桜が長持ちしているように感じます。でもやはり寒いよりは暖かい方が良いので、なんとかこのまま気温上昇のままで行ってほしいなと願っています。
相変わらず、日々色んな方とお会いしたり食事をしたりしていますが、先日は肥後橋のとあるイタリアンの名店で、独立起業祝いとして、こんなデザートプレートを用意していただきました。サプライズだったので、本当にびっくり!とても嬉しかったです。
みんな応援してるからね、という言葉ほど心強いものはありません。どんな人でもそうだと思いますが、新しい一歩を踏み出した時ほど、どこかに孤独や不安を抱えていますから。
そこをちゃんと「大丈夫だよ」とか「応援してるよ」と肯定してもらえると、本当に安心するのです。そして、こういう時に、自分は一人で生きてないな、皆さんの力で生かされてるなと感謝するのです。こういう仲間がどれほどいるか。人は財産ですよね。
「ギブアンドテイク」という言葉がありますが、僕の周りの素敵な方々は「ギブアンドギブ」の精神をお持ちの方が多く、結果、ビジネスでも成功しているという方が多いように感じます。常に与え続ける。見返りを求めない無償の愛。そしてその恩送りが結果として自分にも帰ってくるという循環。
こういうことってどんな本にも書いているし、当たり前のこととして言われますけれど、ちゃんとこの好循環を実現できている人ってどれくらいいるのだろう。与え続けるって割と勇気のいることなんですよね。結果はあとから付いてくる、という言葉も自分が経験しなければ実感が湧きません。でも少なくとも今の自分が言えることは、その言葉は真実だということ、そして毎日お仕事の相談をいただいたり、多くの人に支えていただけているという日々を過ごしながら、少し前の自分に「ほら、心配しなくて良かったやん」と実感を込めて伝えることができます。
自分はもっともっと人の役に立てるし、立ちたい。
そのためにレベルアップする。
新年度スタートと同時に、日々、そのことを考えながら生きていきたいと思っています。
ここからはプライベートな近況報告です。
■入学式
次女の高校入学式がありました。これで我が家からは中学生がいなくなり、娘二人はともに高校生になりました。中高一貫なので新鮮味はありませんでしたが、4月1日といえば前職時代は入社式だったので中学の入学式は出れなかったんですよね。部活の友達と一緒に楽しそうに写真を撮りまくっている次女を見て、とてもうれしくなりました。
■街角イタリアン
冒頭のイタリアンは、肥後橋のイル・クアドリフォーリオさんです。
すべて写真は撮れませんでしたが、スパークリングから前菜、パスタ、メインまでとても美味しくいただきました。ここはまた再訪だな。
■夜桜
芦屋から苦楽園に引っ越してきて最初の春。
今までは芦屋川の桜を見に行っていたのですが、今年は自宅から近い夙川に何度も足を運びました。関西随一の桜の名所、やはり夙川は良いですね。特にライトアップされた夜桜は最高です。屋台も出店も宴会もないので、桜が夜空に映えてとても美しかったです。