馴染みの店というものは、ニ、三週間も行かずにいると「すごく久しぶり」という感覚になります。まるで毎日会っている同僚が長期の出張から帰ってきた時のような。
梅田の蕎麦屋「松林」さんは、僕にとってそういうお店。ここ最近はずっと出張が続いていたので、おおよそ一ヶ月ぶりくらいの訪問でした。新鮮な蕎麦を塩と山葵でいただきます。もちろん、日本酒の熱燗と共に。
店に入って少しすると、アメリカ人の青年が一人で入店して来ました。彼は全く日本語ができず、日本語のメニューももちろん読むことが出来ません。注文にも困っていたので、マスターが「ちょうど良かった!松田君、ちょっと通訳して助けてやって。」と僕に声を掛けて来ました。もちろん、と、彼を隣の席に呼び、一緒に飲むことにしました。
彼はいかにもNY出身らしく、上品かつ聡明で、アパレル会社のマーケティング職で海外を飛び回っているような男でした。香港に約10年住み、東京には良く来ていたそうですが、ある時、大阪に仕事で来たらその魅力にすっかりハマってしまい、今は大阪が大好きになったそう。ちなみに松林への訪問も一年ぶりニ回目ということで、昨年来た時の写真を見せてくれました。
ファッションの歴史と今後について、例えば、技術的な要素だけではなく、社会のあり方や経済事情などを鑑みながら、お互い持論を展開していると話も合い、あっという間に三時間が過ぎてしまいました。いやあ、良く飲んだし、本当に良い出会いでした。
こういうことがあるから人生って面白いんです。